研究課題
特別研究員奨励費
二価の炭素ビラジカル状態とみなすことができる三重項カルベンは有機磁性材料への応用が期待されているものの、非常に不安定な反応中間体であり、未だ安定化は非常に難しい状況である。そこで、申請者らは三重項カルベンの新規発生法の開発と合成を検討している。具体的にはアクリデン骨格を有するアレン化合物の二電子酸化反応による三重項カルベンの合成を計画した。今年度は、温和は酸化条件を期待してアリールオキシ基を立体保護基として有する系の二電子酸化を検討した。アレン化合物の酸化反応後の溶液のESR及びESTN測定を行い、まだダブレット不純物との混合物ではあるものの、室温でも長時間安定な三重項種の観測に成功した。現在、生成物の単結晶X線構造解析を目指し、再結晶を行っている。また、上記三重項カルベン研究を行っていた時に、容易な酸化が期待できる電子豊富なアレン化合物を設計し、合成を検討した。目的のアレン化合物の合成には至らなかったものの、鍵中間体である新規ピンサー型一重項カルベン配位子を合成することができた。そこで、遷移金属錯体合成を行い、中心金属の電子状態に合わせて配位子の配位様式が単座又は三座に変化することが明らかとなった。このことに関して、二報の論文を投稿することができた。
(抄録なし)
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Chemistry Letters
巻: (掲載決定)
Inorganic Chemistry
巻: 52(20) 号: 20 ページ: 11700-11702
10.1021/ic402301u
Journal of the American Chemical Society
巻: 135(1) 号: 1 ページ: 232-241
10.1021/ja308396a
Journal of Physical Organic Chemistry
巻: 24(10) 号: 10 ページ: 1009-1017
10.1002/poc.1870