研究課題/領域番号 |
11J06552
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井元 健太 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | シアノ架橋型金属錯体 / メタ磁性 / 超イオン伝導 / 水素結合ネットワーク / 高い磁気相転移温度 / オクタシアノ錯体 / バナジウム / 光磁性 / スピンクロスオーバー / シアノ架橋錯体 / 鉄イオン |
研究概要 |
採用者の所属する研究室では、シアノ架橋型金属錯体に着目し、様々な物理的、化学的な刺激に応答して結晶構造や磁気特性が変化する機能性を示すことを報告してきた。本研究では、新たな機能性を示すオクタシアノ金属錯体を構築することを目的として、Mn^IIと[Nb^IV(CN)_8]を組み合わせ、有機配位子の4-アミノピリジンを導入した分子磁性体の合成を行った。元素分析、単結晶構造解析から、得られた化合物の組成はMn_3 [Nb(CN)_8]_2(4-アミノピリジン)_<10>(4-アミノピリジニウム)_2-12H_2Oと示唆された。また単結晶構造解析からシアノ基で架橋されたMnとNbからなるネットワークは2次元レイヤー構造を形成していた。結晶構造中には非配位の4-アミノピリジニウム、結晶水が存在しており、4-アミノピリジニウム、配位水、結晶水からなる水素結合ネットワークが存在していた。100 Oeにおいて磁化温度曲線を測定したところ、9Kにおいて磁化値は鋭い極大を示した。また異なる外部磁場で磁場中冷却磁化曲線を測定した結果、外部磁場400 Oe以下では磁化値の極大が存在したのに対し、500 Oe以上では温度低下とともに磁化は単調に増加する振る舞いを示した。また、磁化磁場曲線を測定した結果、200 Oe付近でスピンフリップが起こったことが示唆された。これらの磁気特性から、本化合物がメタ磁性体であることが示唆された。また湿度100%下においてインピーダンス測定により伝導度を測定したところ、温度295Kでは1.0×10^<-4> S cm^<-1>、温度322Kでは4.6×10^<-4> S cm^<-1>を示した。また、低湿度では伝導度が非常に小さかったことから、本化合物超イオン伝導(>10^<-4> S cm^<-1>)を示すプロトン伝導体であることが示唆された。本化合物には1次元の水素結合ネットワークが4-アミノピリジニウム、配位水、結晶水から形成されており、MnのLewis酸性により配位水のプロトンの脱離が、促され、脱離したプロトンが水素結合ネットワークを移動するGrotthussメカニズムにより本化合物が高いイオン伝導性を示したと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、オクタシアノ金属錯体を用いて新規機能性を見出すことを目的とし、Mn^<II>と[Nb^<IV>(CN)_8]、有機配位子の4-アミノピリジンを組み合わせた分子磁性体を合成した。その結果、MnとNbがシアノ基を介して交互に架橋した2次元レイヤー構造を有する錯体の合成に成功し、メタ磁性と超イオン伝導が共存する分子磁性体の構築に成功した。この結果はオクタシアノ金属錯体を用いた超イオン伝導体の初めての報告であり、順調に研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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