研究課題/領域番号 |
11J06573
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
正木 彰伍 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 宇宙大規模構造 / 銀河進化 / 大規模シミュレーション / 銀河ハロー / 銀河間宇宙塵 |
研究概要 |
Sloan Digital Sky Survey(SDSS)等の近年の大規模銀河サーベイによって得られた観測結果を理解し、宇宙論的な枠組みの中で銀河の進化や形成過程を明らかにしていくことは天文学において大きな目標の一つである。また、大域的な銀河の分布から、現在の標準宇宙論であるΛ項を含む冷たい暗黒物質(ΛCDM)宇宙論にさらなる制限を与えることも重要な目標である。これらの目標を達成するためには、ΛCDM宇宙論で予言される暗黒物質の構造(ハロー)と銀河との関係を、理論的に明らかにすることが肝要であるが、未だに不明確なままである。次世代計画によって、さらなる精密観測が可能な時代を迎えるにあたって、これは解決すべき問題である。このような背景において私は、不定性が少なく理論的なアプローチとして有効な大規模な宇宙論的シミュレーションやその結果を利用したモデル化を用いて、国内外の研究者と共同で主に以下の研究を進めた。 平成24年度、私は2つの模擬カタログ作成法を開発した。現実的な模擬カタログを作成するには、ハローが銀河の性質を複数持つことが重要であるが、これまで光度や星質量など単独の性質のみ与える方法しか無かった。そこで私は、ハローに銀河の光度に加えて、色を与える方法を開発した。色と相関が強いと予想されるハローの性質について詳細に調べた結果、ハロー近傍の物質密度が高いほど銀河が赤くなるとした場合の二点相関関数や銀河周りの質量分布の色依存性が、SDSSの観測結果と非常によく一致することがわかった。これは、銀河が物質密度が高い場所で、星形成が抑制され赤くなるという銀河進化に対して重要な示唆を与える。 もう1つは、極めて明るく赤い銀河(LRG)という特定の種族の銀河の模擬カタログ作成法である。LRGを用いて宇宙論を決める最適な方法を検討するためには、現実的な模擬カタログの構築は必須である。これまでは物理的根拠に乏しい方法が主流であった。そこで私はLRGの特徴に基づいて、LRGの祖先となるであろう銀河ハローを同定するという物理的な手法を新たに開発した。その結果、SDSSで得られた二点相関関数やLRG周りの質量分布など種々の統計量を同時に再現することに成功した。その上で、宇宙論的解析における系統的誤差を減らすための方法を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
最終年度
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今後の研究の推進方策 |
最終年度
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