研究課題/領域番号 |
11J06598
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹内 良貴 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 宇宙論 / 21cm線 / 等曲率ゆらぎ / 低質量ハロー(ミニ・ハロー) / ミッシング・バリオン / 超微細構造線 / SKA / LOFAR / 宇宙マイクロ波背景放射 / 非ガウス性 / 密度揺らぎ / 大規模構造 / 相互相関 / ミンコフスキー汎関数 |
研究概要 |
中性水素原子の超微細構造に起因するエネルギー準位間の遷移は、その遷移エネルギーに対応するスペクトル線の波長の長さから21cm線として知られている。この中性水素の21cm線を用いることで、星や銀河が輝き始める以前の暗黒時代と呼ばれる時期の宇宙をも探ることができるだろうと宇宙論の分野では注目されている。将来の大規模な電波干渉計を観測では、銀河団や銀河よりもさらに小さなスケールの物質の分布を解明することができ、初期密度ゆらぎの性質をより詳細に検証可能にすると期待される。 今年度も、宇宙マイクロ波背景放射による非ガウス性の制限に関する研究と並行して、21cm線の観測プロジェクトの一つであるLOFARグループに参加し現地の研究者らと共同研究をおこなった。 宇宙の暗黒時代における21cm線の光源として、ミニ・ハローと呼ばれる低質量のハローが注目されている。このようなハロー内では、星形成が活発に行われないために水素原子も中性のまま、かつ高密度で存在していると考えられる。我々は、この低質量ハローからの21cm線のシグナルを理論計算から評価し、初期密度ゆらぎの性質の違いによって、シグナルがどのように変化するかを確かめた。また、将来観測から期待される、等曲率ゆらぎ成分についての制限を行った。 これらの結果から、宇宙マイクロ波背景放射の観測から制限が難しい、比較的小スケールのゆらぎの性質をより詳細に制限することできるということを示した。また、宇宙マイクロ波背景放射の観測結果との相互確認という目的でも、異なる観測間の一意性を確かめる点においても重要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙マイクロ波背景放射とは独立な観測量である中性水素の21cm線の観測から、初期密度ゆらぎの性質に対する検証を行った。宇宙マイクロ波背景放射の観測結果との一致性を21cm線の将来観測を用いて検証することを想定して研究を並行して進めており、おおむね順調に進展してとう自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
宇宙マイクロ波背景放射の偏光データも用いて、初期密度ゆらぎの性質についてさらに詳細な解明をめざす。また、今後、中性水素の21cm線の観測からも初期密度ゆらぎの性質を探ることができると期待されており、ミンコフスキー汎関数を用いた解析を21cm線の観測データに対しても応用できると考えられる。さらに、その他の異なる観測間で初期密度ゆらぎの性質について一致がみられるかを検証し、相互確認することも重要であると考える。
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