研究課題/領域番号 |
11J06599
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
ナノ構造科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中西 亮 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | カーボンナノチューブ / 金属原子ワイヤー / ユーロピウム / x線光電子分光分析 / 透過型電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光 / 窒化ホウ素ナノチューブ / X線光電子分光分析 |
研究概要 |
1.昨年度までに行っていた、直径1.4±0.1nmの均一な単層カーボンナノチューブ内部に創製した約4列から成る金属原子ワイヤーの、ドイツ・ベルリンにある放射光施設BESSY-IIにてX線光電子分光およびX線吸収スペクトル測定により解析した結果を、論文にまとめて雑誌「Physical Review B」に報告した。 2.金属原子ワイヤーを創製するより理想的な鋳型として、6.0eVという広いバンドギャップを有するナノチューブである窒化ホウ素ナノチューブの合成に着手をした。合成は、カーボンナノチューブの内部ナノ空間をナノサイズの試験官と見なし、ここに窒化ホウ素の元としてボラン・アンモニア複合体を導入し、1400℃でアニーリングすることで行った。結果として、直径約0.7nmの細い単層の窒化ホウ素ナノチューブをカーボンナノチューブ内部に多量合成することに成功した。これは、ちょうど一列の金属原子ワイヤーを創製するのに適したサイズであり、金属原子ワイヤー自体の電子状態・物性を評価するのに非常に適した物質であると言える。合成した細い単層窒化ホウ素ナノチューブ内包カーボンナノチューブの構造および元素分析を透過型電子顕微鏡および電子エネルギー損失分光分析により行い、また広いバンドギャップの存在を吸収分光分析により確認した。これらについて、国内外の学会にて口頭およびポスター発表をするとともに、論文にまとめて雑誌「Scientific Reports」に報告した。 3.上記2で合成した単層窒化ホウ素ナノチューブ内包単層カーボンナノチューブに金属原子を内包して金属原子ワイヤーを創製する試みを行った。この結果、十分な長さの金属原子ワイヤーを合成することは出来なかったが、代わりに、合成された窒化ホウ素ナノチューブの端が閉じていることが確認された。また、本研究員は、内部に合成された窒化ホウ素ナノチューブをカーボンナノチューブから取り出す試みもいくつか行っている.これらについては、今後も検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定であった、カーボンナノチューブ内部に創製した金属原子ワイヤーの選択的合成およびその評価は既に終了しており、現在はその先にある、より理想的な鋳型と考えられる窒化ホウ素ナノチューブの選択的合成を行っている段階であり、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
合成した単層窒化ホウ素ナノチューブ内包単層カーボンナノチューブについて、内部の単層窒化ホウ素ナノチューブのみを得ることを目指す。しかし、現在までに行った、大気加熱および化学的処理によるカーボンナノチューブの除去、あるいは超音波分散によるカーボンナノチューブからの抽出においては、いずれも成功には結びつかなかった。本研究で合成された直径0.71皿程度の細い窒化ホウ素ナノチューブがやや不安定である可能性を考慮し、より非破壊的な手法、例えば外部のカーボンナノチューブを構成する炭素原子を窒素およびホウ素に置換する等を試みていく必要があると考えられる。
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