研究課題/領域番号 |
11J06748
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物性Ⅱ(磁性・金属・低温)(理論)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 拓郎 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | スピンホール効果 / 内因性項 / 外因性項 / スキュー散乱項 / 不純物濃度 / 遷移金属 / 異常ホール効果 / 内因性機構 / 外因性機構 / サイドジャンプ項 / AC異常ホール伝導度 / ベリー曲率項 |
研究概要 |
スピンホール効果の発現機構について興味が持たれ、現在も盛んに研究されている。特に、発現機構の中でも内因性または外因性機構のどちらが如何なる条件下で優位に働くかの発現条件に古くから注目が集まっている。しかしこれについては未だ理解が進んでいない。具体的には、低抵抗領域においてはスキュー散乱項が不純物濃度の逆数に比例して増大するため、不純物濃度に依存しない内因性項を凌駕すると考えられている。しかしその具体的な条件、すなわち定量的な不純物濃度や不純物ポテンシャルの具体的な表式等が理解されていない。 そのような中で、本研究では先行研究に基づき内因性及びスキュー散乱項に対して同じ条件で理論計算を実行した。 ここで用いた模型としては、以前遷移金属において内因性項を計算した強束縛模型に基づき線型応答理論を用いて計算を行った。その際、不純物散乱効果として局所不純物に由来するT行列に基づき計算を行い、低抵抗領域でスキュー散乱項が内因性項を凌駕する条件を調べた。 結果的に先ずPtにおいては、スキュー散乱項が内因性項を凌駕するのは不純物濃度n_<imp>が1.5×10^<-3>以下であるという条件が求まった。すなわち、局所不純物に由来するスキュー散乱機構が内因性機構に比べて優位に働くのは不純物濃度が非常に小さい条件のみであり、このような品質の高い資料を作成するのが極めて困難であると考えられるため、実験で用いられる現実的な試料では内因性機構が支配的である。またPt同様、その他の遷移金属に対しても理論計算を行ったところ、スキュー散乱項が内因性項を凌駕する不純濃度に差はあるが、多くの物質に対して1%以下という非現実的な条件下のみでの優位性が明らかとなった。 内因性項同様、スキュー散乱項及びサイドジャンプ項両方ともにスピン軌道偏<I・S>を用いて表現できる。そのため大きな内因性機構を示した遷移金属を不純物として用いる事で、それに由来して大きな外因性機構が発現すると考えられる。このように軌道自由度を有する不純物に由来する外因性機構に基づきより巨大なスピンホール効果及び高効率なスピン変換効率を持つ物質・合金の更なる研究が期待される。
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