研究課題/領域番号 |
11J06842
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三野 和惠 京都大学, 教育学研究科, 博別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2011 – 2013
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
700千円 (直接経費: 700千円)
2013年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
2012年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
|
キーワード | 台湾史 / キリスト教史 / 台湾基督長老教会 / イングランド長老教会 / キャンベル・N・ムーディ / 植民地 / 宣教 / 台南神学校 |
研究概要 |
本研究は、日本統治下台湾において台湾人との相互関係により植民地支配への懐疑や、自らのキリスト教像の再考を促されたイングランド長老教会宣教師キャンベル・N・ムーディ(1865-1940)の思想とその変遷の解明を目指す。 2013年度にはまず、ムーディが教育を受けた19世紀スコットランドにおける「啓蒙的福音運動」に着目し、宣教熱に促された社会改革と、進歩や理性を強調する啓蒙主義の併存状況を生み出した同運動の影響を、ムーディの英文著書『異教徒の心』(1907)、白話字(閲南系台湾語のローマ字表記)著書『伝道論』(1914)に確認した。この時期の彼は自らを含む宣教師が台湾人を道徳的に「劣る」と捉える傾向を内省した反面、台湾人「異教徒」がキリスト教を「正しく」受容するには宣教師の助けを要するとして序列づける啓蒙主義的側面をも有した。しかし、この考えは台湾人との関係性の中で宣教の意味を間うてきた彼自身の内的模索や、南部台湾長老教会(イングランド長老教会が設置)信徒の教会自治運動に直面した彼が、宣教師と台湾人伝道師の給与額の落差の改善を試みた経験の影響で、1920年代には変容を迫られた。 また、1930年代台湾人信徒の神学議論を捉えるため、台湾人の青年組織「台湾基督教青年聯盟」の『聯盟報』(1933-)、北部台湾長老教会(カナダ長老教会が設置)『伝道師会会誌』(1934-)、南北台湾長老教会合同の『福音と教会』(1938-)などの刊行物を支えた人脈を分析し、『福音と教会』メンバーの大半が日本留学経験者であり、『聯盟報』を支えた台湾人YMCA運動や『伝道師会会誌』と連動する「北剖新人運動」を含む、1930年代初頭の台湾人教会自治運動の関係者だったことを明確化した。『福音と教会』の内容分析では、本誌メンバーが台湾人の教会自治を志向し、台湾人独自の神学や伝道論を模索していたことを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度には、19世紀末スコットランドにおける思潮の重要な要素となった啓蒙主義の影響をムーディの著書に見出すと同時に、1920年代の彼が、宣教師と台湾人伝道師の不平等な給与額の問題を改善しようとした事実に着目することで、ムーディが宣教団体としてのイングランド長老教会と何を共有し、またどのような点において相違し、したがって独自性を有していたのかを具体的に捉えた。その成果は本研究の目的に沿うものであり、研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
|