研究概要 |
3年目の研究課題である「ユークリッド空間内の2重調和部分多様体は極小である.」というB. Y. Chen予想の研究を更に発展させた研究を行った. 私は昨年度,芥川教授との共同研究により,properという条件のみを仮定したもとで肯定的解決を得,更に単独の研究で,この研究をbiminimalという,より一般の条件に拡張した.これらの研究からChen予想は肯定的解決が見込まれるが,反例の可能性も考慮しながら現在研究を継続中であった. 今年度は,単独研究において上記の研究を更に発展させて「非正の断面曲率を持つリーマン多様体内の2重調和部分多様体は極小に限る」という,一般化されたChen予想に挑んだ. 研究は2重調和部分多様体そのものを研究するのではなく,上述したbiminimalと呼ばれる2重調和部分多様体のnormal partを研究した.biminimalの条件から平均曲率ベクトル場のノルムの2乗にラプラシアンを作用させたものの評価式を得て,これよりgeneralized maximum principleを用いると部分多様体のリッチ曲率に仮定をつけると一般化されたChen予想に部分的な肯定的解決が出来るが,この場合第二基本形式のノルムに条件を付けなければならず非常に人工的条件になる.私はbiminimal固有のパラメータが0以上のとき,properを仮定し,外の空間の曲率がある点からの距離関数のオーダーが2より小さいという条件を仮定して極小であることを示した.更に,そのパラメータが0以下のとき,properの条件は最良の条件であることを示した.
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