研究課題
特別研究員奨励費
アミロイドペプチドの自己組織化能は、機能化ナノワイヤーを基盤としたナノデバイス創製に有用である。これまでに、N末端に3残基アミノ酸ユニットをもつSCAPペプチドを開発し、複数のSCAPをヘテロ混合する混合SCAP法によるアミロイド線維形成の制御および効果的なナノワイヤーの機能化を可能にしている。ナノデバイス創製には、このような自己組織化の制御に基づく『機能性ナノ回路の作製法』の開発が不可欠である。このため、本研究では、混合SCAP法の線維形成メカニズム解明およびナノワイヤーのパターン化法の開発を実施している。これまでに、混合SCAP法により、線維形成初期のオリゴマーレベルで、線維伸長に有利な伸展型構造が誘起され、さらに、同条件下で、最終的な線維長が著しく促進されることを明らかにしている。そこで、本年度は、線維伸長過程の構造変化についてAFMにより詳細な解析を実施した。その結果、混合SCAP条件では、プロトフィブリルから成熟線維への構造変化が著しく促進されることが明らかになった。これらの結果に基づき、伸長過程において、伸展型オリゴマーによる付加と成熟化の促進が起こることにより、線維長が促進されるという新規メカニズムを提唱した。これは、線維長制御への重要な知見を与えるものと期待される。一方、ナノワイヤーのパターン化のために、単一線維上に異なるペプチドコンポーネントにより構成されるタンデムパターンのドメインをもつナノワイヤーの形成を実施し、その効率的な作製に成功した。さらに、SCAPの混合比を変えることで、タンデムパターンの制御が可能であることを見出した。一方、基板上への線維のパターン化のために、金ナノ粒子を基点として線維伸長を開始させる手法の開発に成功した。これらは、機能化ナノワイヤーを基盤としたナノ回路作製への有用な手法となることが期待される。
(抄録なし)
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