研究課題
特別研究員奨励費
鉛イオン(Pb2+)に対する化学発光性の指示薬を作成と並行して、Ca2+指示薬作成も行った。Ca2+については蛍光指示薬の知見が豊富で作成にあたってのノウハウが全てPb2+指示薬の作成に活かすことができると考えたからである。当研究室では化学発光タンパク質RLucと蛍光タンパク質Venusを高効率にエネルギー移動が起こるコンフォメーションで連結することにより高輝度化したNano-lantemを開発している。このRLucドメイン内にCa2+結合タンパク質CaMとM13を導入することで、新規Ca2+指示薬Nano-lantern(Cd2+)を開発した。さらにCaMとM13の間のアミノ酸リンカー長を変えることによりCa2+に対する親和性を10nMから500nM程度まで様々な解離定数を持つ6種類の変異体を作成することもできたことは大きな進展であったと言えよう。従来のCa2+プローブでは不可能だった高速度でのイメージングを試みるために、Nano-lantern(Ca2+)をHeLa細胞(培養されたヒト由来の癌細胞)に発現させたところ、これまでの発光性Ca2+プローブでは不可能だったビデオレートでのイメージングに成功しましたこれらの発光プローブは励起光を必要としないため、蛍光タンパク質ではできなかった観察による新たな発見が期待されます。また、光で細胞の活動やタンパク質の機能を制御する「光遺伝学的技術(オプトジェネティクス)」と組み合わせることが容易です。残念ながら、同様の戦略でPb2+指示薬を開発することは適わなかったものの、RLucの重金属感受性についての詳細な知見を得ることができた。本知見は今後の指示薬開発に大いに活かせるものと期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
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