研究課題
特別研究員奨励費
・AP-2βの発現制御と機能の解析本研究の目的は、形態の種間差の創出メカニズムを明らかにすることである。これまでに、特にAP-2βという転写因子が指の形態形成に及ぼす影響に着目し、解析をおこなってきた。本年度は、AP-2βの発現制御機構に着目し、ニワトリ胚を用いた微細操作実験により解析をおこなった。その結果、AP-2βの発現の誘導にはShhとFgfが、維持にはFgfがそれぞれ中心的な役割を果たすことが明らかとなった。昨年度までの研究結果と合わせると、AP-2βはAERという肢芽先端部の特殊な上皮から分泌されるFGFに応答し、指の伸長時にその発現が維持されている可能性が示された。一方で、恒常活性型AP-2βを導入した場合は、指の過剰な伸長は見られず、むしろ短縮が見られた。したがって、AP-2β単独のはたらきでは指は伸長せず、むしろ他の因子(群)が存在しない状況下ではAP-2βは指の形成不全を引き起こすのかもしれない。上記の内容を含む3年間の研究成果をまとめて論文を執筆し、現在投稿準備中である。・鳥類特異的に保存されたゲノム配列の解析前年度は、鳥類特異的に高度に保存されたゲノム配列の直近にある100個の遺伝子の発現解析を、ニワトリ胚を用いておζなった。本年度は、これらの遺伝子の中から鳥類特異的な発現を示すものを探し出すため、マウス胚・ヤキリ胚を用いて同様な発現解析をおこなった。結果的に、鳥類特異的な発現パターンを示す数個の遺伝子を特定することができた。中でも、Simlが風切り羽の形成位置に特異的に発現することは特に興味深い点であった。鳥類に特徴的な形質の要因が、ゲノム上の遺伝子発現制御領域にある可能性を示した本研究内容を論文としてまとめ、国際誌に投稿した。
(抄録なし)
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http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/tamlab/index.html