研究概要 |
平成24年度の研究計画では、グループVIII ERFに対するChIP-sequenceのライブラリー調製と、次世代シークエンサーのランを実行し、シークエンスデータの解析と、下流ターゲット遺伝子を同定までを計画していた。植物材料としてシロイヌナズナの培養細胞T87を用意し、前年度までに確立したライブラリー調製法をもとに、一過的遺伝子導入とクロマチン免疫沈降を行いChIP-DNAサンプルを調製し、ライブラリーを作製することが出来た。このChIP-seqライブラリーを用い、イルミナ社の次世代型シークエンサーGAIIxによりランを行った。ライブラリーはマルチプレックスライブラリーとし、計2ラン(2レーン分)を実行し、合計約30Mリードのランデータを得ることが出来た。得られたシークエンスデータはクオリティーチェックを行い、参照配列へのマッピングとChIPピークの同定を行った。この結果、計303ピークが同定され、さらにこれらのマッピングデータからゲノム上の位置の確認とモチーフ探索を行い、最終的にグループVIII ERFの下流遺伝子候補として計25遺伝子に絞り込むことが出来た。各候補遺伝子に対する詳細な解析は行えておらず、グループVIII ERFの下流に位置し、HR細胞死誘導に関与する遺伝子として同定するためには、25の遺伝子それぞれについて生化学的な解析や遺伝子機能解析を行うなどして候補の絞り込みをする必要があると考えられた。 この間にグループVIII ERF遺伝子に関して,個々の遺伝子機能やグループ全体の特徴など新たな知見が得られており、これらの研究成果については別途まとめてPlant Science誌へ報告した。また、本研究課題の実施内容を含む報告を第15回国際分子・植物・微生物相互作用学会で発表した。次世代シークエンサーによるChIP-sequenceの最終的な解析結果は、データ解析を進め論文投稿準備を進めている。
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