研究課題/領域番号 |
11J08282
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
秋葉 剛史 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 分析哲学 / 形而上学 / 存在論 / 唯名論 / ドイツ・オーストリア学派 / 初期現象学 / 初期現象学派 |
研究概要 |
「唯名論を現代的な観点から彫琢し擁護する」という本研究の目的の達成に向け、平成25年度中に以下のような研究を行った。まず、博士論文の内容を発展させ、より包括的な議論に仕上げた。同論文では、「単純な述定命題のtruthmaker(この種の命題を真にするもの)」という理論的役割に注目し、この役割を果たす存在者は実在論の枠内(事態説)でよりも唯名論の枠内(トロープ説)でこそ満足な仕方で与えられると論じた。昨年度はこの議論を拡張し、truthmaker概念を採用することの動機づけをより丁寧に補強するとともに、従来この概念を採用することの一つの障壁とみなされていたスリングショット論法に応答する論考を加えた。以上の内容は、学術単著『真理から存在へ――<真にするもの>の形而上学』として近日出版予定である。 また、現代形而上学の成果をドイツ・オーストリア学派の理解にフィードバックする一つの試みとして、現代形而上学における有力学説の一つである「性質の因果説」の見解を、特にE・フッサールが展開した性質・物体構成論を読み解くための手がかりとして用いることを試みた。その成果は、第12回フッサール研究会シンポジウムにおける提題として発表した。 さらに、「実在論と唯名論」という理論的対立の基本に立ち返り、その意義をより広く非専門家に知らしめることを目指し、次の仕事も仕上げた。一つは、現代形而上学全般についての著作『ワードマップ現代形而上学』(新曜社、2014年)であり、この中で私は「普遍」「個物」「形而上学手のさらなる広がり」という三つの章の執筆を担当し、形而上学的対立を検討する一般的な意義とその方法について特に丁寧に紹介した。もう一つは、現代哲学において普遍の問題について論じるための必読文献となっているD. M. ArmstrongのUniversals : An Opinionated Introductionの翻訳であり、この中では詳細な訳注によって著者の議論を補足するとともに、この問題のそもそもの背景や争点についても解説した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主要な達成目標の一つである「Truthmaker概念にもとづくトロープ存在論の擁護」という課題を、単著執筆の作業を通じてかなり前進させることができた。また、現代形而上学から独墺学派研究へのフィードバックという点に関しても、今後の研究につながる実り豊かな成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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