研究課題/領域番号 |
11J08493
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
創薬化学
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
川島 浩之 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドベータ / O-アシルイソペプチド法 / クリックペプチド / 凝集阻害剤 / ο-アシルイソペプチド法 |
研究概要 |
本研究は申請者らの研究グループ独自の方法論である「O-アシルイソペプチド法」を応用し、アルツハイマー病関連アミロイドペプチド(Aβ)について、その神経細胞毒性発揮メカニズムの解明と、毒性本体となるAβ分子種の形成を阻害する化合物をデザイン・合成し、その活性を評価する事を目指すものである。 申請者の研究グループ独自の化合物であるO-アシルイソペプチドは、Aβの水溶性前駆体として有用なツールである. このO-アシルイソペプチド自身は水溶性かつ非凝集性であり、Aβと共存させた場合には、原子間力顕微鏡を用いた実験より、Aβの繊維形成を阻害する事が明らかとなった. アルツハイマー病の発症とAβの凝集過程は密接に関係している事が示唆されており、従ってAβの凝集を阻害する事は本疾患の治療薬開発に貢献すると考えられる。しかしながら、O-アシルイソペプチドは中性pH条件下では化学構造的に不安定であり、生理条件下でのアッセイ系に用いる事ができなかったため、中性でも安定なN-Me-β-Alaを導入した誘導体の設計・合成を行った。チオフラビンTアッセイ、蛍光アニソトロピーアッセイ、ウエスタンブロット、原子間力顕微鏡などにより評価した結果、本誘導体はAβのオリゴマー形成を遅延させ、Aβの繊維形成を阻害した。O-アシルイソペプチド及び本誘導体は、Aβのβ-シート形成領域(Aβ12-24, Aβ30-40)に着目した既存のペプチド性阻害剤とは異なる位置に修飾部位をもつため(Gly^<25>-Ser^<26>)、これまでとは異なる新たな作用機序を有する可能性があると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度はAβの凝集メカニズムの解明及び凝集阻害剤開発研究を行い、当研究室独自の化合物であるO-アシルイソペプチドの構造をもとに設計されたN-Me-β-Ala誘導体がAβの凝集を阻害したという内容でBioorganic & Medicinal Chemistry誌に報告した。Aβのアミノ酸配列に基づく凝集阻害剤の設計・合成に成功し、現在はその阻害メカニズムの考察を行っている段階である。従って、申請書に記載した内容に沿ってある程度の研究を進める事ができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、O-アシルイソペプチド及びN-Me-β-Ala誘導体がAβの凝集にどのように影響するかを調べ、阻害剤分子の構造からAβとの相互作用を予測し、"構造"に基づいた論理的阻害剤設計を目指す. そこでまず、Fmoc型固相合成を使用してAβの25位-26位の修飾に着目した環状ペプチドのライブラリを構築し、各種生化学的なアッセイを用いて、それら環状ペプチドの阻害活性を評価する。この中から阻害活性を有するものが見つかれば、次にX線結晶構造解析を行い、環状ペプチドの構造を決定する。得られた環状ペプチドの構造を基に、Aβと環状ペプチドとの結合部位及び相互作用メカニズムを推測し、構造活性相閲研究を通してさらなる阻害活性の向上を計る.
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