研究課題/領域番号 |
11J08873
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 智広 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | チューブリン・ポリグルタミン酸化修飾 / 鞭毛・繊毛 / クラミドモナス |
研究概要 |
具体的内容 当該研究の目的は、鞭毛におけるチューブリン・ポリグルタミン酸化修飾の重要性を追求することである。この目的を達成するために、具体的に二つの実験テーマを設定した。そのひとつはチューブリン・ポリグルタミン酸化修飾が鞭毛運動性に対してどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることである。本研究では、この目的を達成するために、鞭毛のポリグルタミン酸化修飾が減少したクラミドモナス変異株tpg1を用いて解析を行った。その結果、ポリグルタミン酸化修飾は複数種類ある軸糸ダイニンのうち、特定の一種の内腕ダイニンに対して大きな影響を持つことが明らかになった。さらに、本研究の二つ目の実験テーマは、ポリグルタミン酸化修飾を行う修飾酵素がどのように鞭毛内へと輸送されるのかを明らかにすることである。本研究ではtpg1と類似な表現型を示すクラミドモナス変異株tpg2の解析によって、修飾酵素TTLL9と複合体を形成する新規の鞭毛蛋白質FAP234を同定した。TTLL9-FAP234複合体は鞭毛内輸送系によって鞭毛内へと運ばれることが明らかになった。これらの成果を、アメリカ細胞生物学会を含む国内外の学会で発表し好評を得た。 意義・重要性 チューブリン・ポリグルタミン酸化修飾は鞭毛運動においてダイニンの運動性に影響を及ぼすことが先行研究によって予想されていたが、ダイニンに対して具体的にどのような影響を与えるかは全く分かっていなかった。本研究ではポリグルタミン酸化修飾が特定の内腕ダイニンー種とおそらく強い静電相互作用することを初めて明らかにした。このことはダイニンと微小管の相互作用を理解するうえで重要な結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではチューブリン・ポリグルタミン酸化修飾が特定の内腕ダイニンに対して特に大きな影響を与える、という意外な結果を得た。ポリグルタミン酸化修飾はこれまで鞭毛運動性を調節していることとしてあまり着目されていなかったことであるため、本研究で得た結果は、鞭毛運動全体を理解するうえで重要な発見といえる。 従って当該研究は概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではポリグルタミン酸化修飾が鞭毛運動性に対してどのような影響を及ぼすかを解析した。今後の課題は個別の軸糸ダイニンとポリグルタミン酸化された微小管がどのような相互作用をするのかをより詳細に解明することである。具体的にはHPLCによって単離した個別のダイニンをガラス基板上に固着し、その上を、微小管を滑らせるin vitro gliding assayの系を使ってダイニンeとポリグルタミン酸化微小管の相互作用を調べる予定である。
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