研究課題
特別研究員奨励費
平成25年度は、英国ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所に滞在し、ナノ粒子を用いた量子ビットの作製に資する研究を遂行した。英国ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所Charles Smith教授は、二重量子ドット内の電荷状態を高周波測定により読み取る手法を有している。そこで、アルカンチオール/アルカンジチオール混合分子膜に保護された金ナノ粒子への電子遷移を高周波測定で読み取ることを試みた。この実験は、現在トップダウン手法で作製されている量子ビットを、金ナノ粒子を使ったボトムアップ手法で構築することをめざしている。まず、ナノ粒子が2つ並んだ2重量子ドット構造を解析するため、マスター方程式を用いた2重量子ドットSETの解析法を構築した。従来のモンテカルロ法による解析と比較して、この方法を用いると、ドレイン電圧とゲート電圧を用いた電荷状態図から、ナノ粒子と電極間の抵抗値や容量値が精密に推測できる可能性があることがわかった。この結果はナノ粒子が量子ビットとして構築できた際の構造解析に利用できる。無電解金メッキ法によりナノギャップ長を高精度に制御したナノギャップ電極に、上記のアルカンチオール/アルカンジチオール混合分子膜に保護された金ナノ粒子を導入し、SETを作製した。作製したSETを測定するために、300mK下での高周波測定に必要なホルダーや基板を準備した。高周波反射信号測定により、基板上に設計したLC回路と素子から構成される回路の共振を低温下で確認するところまで実施した。並行して、この金ナノ粒子を金属電極間の絶縁膜中に埋め込んだ構造において高周波反射信号測定を行い、金ナノ粒子への単電子輸送現象をとらえる実験を共同研究として遂行している。今後は、金ナノ粒子における電子のスピン緩和時間の推定を、高周波測定により行っていくことを予定している。
(抄録なし)
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (14件)
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