研究課題/領域番号 |
11J09141
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 正芳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | プロジェクトーム / 神経幹細胞クローン / ショウジョウバエ / 神経ネットワーク |
研究概要 |
神経ネットワークの機能を理解するためには、神経ネットワークの網羅的な投射状態(プロジェクトーム)を知る必要がある。プロジェクトームを明らかにすることで、神経ネットワークの機能と回路構造の関係についての理解が飛躍的に進むと期待される。また、コネクトームは行動実験や電気生理学的実験、コンピューターシミュレーションなど、神経科学の広い領域で利用可能な有用なデータベースとなる。ショウジョウバエの脳には片半球あたり約100個の神経幹細胞があり、ひとつの神経幹細胞に由来する子孫神経細胞集団を神経幹細胞クローンと呼ぶ。これまでの研究で神経幹細胞クローンはそれぞれが特異的な神経回路を構築することが分かっているので、約100種類ある神経幹細胞クローンを全て同定することで、脳の全神経回路を同定することができる。本研究は一部の脳領域の神経回路のみを詳しく解析していたこれまでの研究とは異なり、ショウジョウバエの脳にある約100種類の神経幹細胞クローンの投射パターンとシナプスの分布を全て同定して、ショウジョウバエ脳のプロジェクトームを明らかにするという、これまでに例のない研究である。また、詳細な脳領域の地図に基づいて神経幹細胞クローンの投射パターンとシナプスの分布を記号化し、有向グラフデータに表すことで、脳の全神経回路を対象にした情報科学的な神経ネットワークの解析ができる点で、独創的な研究である。ショウジョウバエはマウスに比べて脳の神経細胞数こそ少ないが、行動実験はマウスとほぼ同じレベルの実験が可能である。また、視覚系や嗅覚系、聴覚系の研究では、ショウジョウバエ脳と哺乳類脳の間で神経回路の構造に高い類似性が示されている。本研究の完成により、哺乳類の脳内の神経回路にも共通するような普遍的な脳内の神経回路構造が解明され、哺乳類のプロジェクトーム解明に向けて重要な知見を提供できると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに約5000個のサンプルから、96種類の神経幹細胞クローンを同定した。これは予想される約100種類のクローンのほぼすべてをカバーしている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標である予想される約100種類の神経幹細胞クローンの同定はほぼ終了した。今後は、これらの神経幹細胞クローンのなかで似た構造的な特徴を持つclanと呼ばれるグループについて解析を行う。また、他の研究グループの神経幹細胞クローンの投射データと合わせてより、詳細な神経投射ネットワークの解析を行う。
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