研究課題/領域番号 |
11J09195
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
ナノ材料・ナノバイオサイエンス
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白井 健太郎 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 免疫分析 / ELISA / 拡張ナノ空間 / ナノ流体 / 単一細胞 / 単一細胞分析 / 極微量分析 / 単一分子 / パターニング |
研究概要 |
近年の医学・生物学では、個々の細胞の活動を把握し理解するため、タンパク質を単一細胞レベルで調べる研究ツールの開発が求められている。高選択的なタンパク質分析法として免疫分析法が普及しているが、既存手法の分析場体積は細胞体積よりも桁違いに大きいため、単一分子・単一細胞分析は困難であった。一方、筆者の所属研究室ではガラス基板上に作製した拡張ナノ空間(10-1000nm)を用いた分析手法の研究を進めている。拡張ナノ空間は体積がfL-aLと細胞体積(pL)よりも3桁以上小さく極微量分析に適した空間であるため、単一細胞レベルの分析が実現できる。今年度は、第1年目に開発した拡張ナノ流路内の抗体部分修飾法および第2年目に実証した高効率分子捕捉を総合的に応用して、酵素による化学増幅および微分干渉熱レンズ顕微鏡による超高感度定量を組み合わせ、単一分子・可算個分子分析を実現する免疫分析拡張ナノ流体デバイスを開発した。まず、単一分子を検出できるよう流路サイズと酵素反応条件を設計した。酵素反応系として高い化学増幅効果が期待できる西洋ワサビペルオキシダーゼとテトラメチルベンジジンを用いた。次に、抗体を部分的に固相化したナノ流路で目的分子に対してサンドイッチ複合体を形成し、酵素反応後に蓄積した発色基質を微分干渉熱レンズ顕微鏡で検出したところ、信号が得られた。得られた信号と試料導入時に発生するサンプリングノイズ(ポアッソン分布)を比較したところ、確率的に起こりやすい分子数に相当する信号が得られたことから、本デバイスが単一分子・可算個分子を分析できる性能を有していることを実証できた。本研究により、分析化学において濃度定量から可算個分子の定量への変革をもたらし、極限の分析化学を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は拡張ナノ空間に免疫分析を集積化し、単一分子・可算個分子分析可能なデバイスを開発することである。最終年度として、1,2年目の成果を総合して応用し、わずかな試料に含まれる極微量の目的分子を定量できるデバイスを開発することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本デバイスは単一細胞レベルの極限分析法を提供して医学・生物学などの関連分野に大きく貢献すると期待される。そのためには、実験誤差および本質的に存在する統計誤差を区別し考察・議論することにより、定量分析の精度・正確度を向上させることが必要である。また、本研究の成果は、シナプスなど10-100nmスケールの細胞内・細胞膜間における分子反応機構の解明や、秒スケールでほぼ100%の目的分子を分析できることを利用した超高効率・迅速医療診断へと展開できると考えられる。
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