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生合成遺伝子の異種発現による抗腫瘍性生物活性物質テトラヒドロイソキノリン類の合成

研究課題

研究課題/領域番号 11J09202
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 生物生産化学・生物有機化学
研究機関静岡県立大学

研究代表者

猿渡 隆佳  静岡県立大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2011 – 2013
研究課題ステータス 完了 (2013年度)
配分額 *注記
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードサフラマイシン / ペプチド系抗生物質 / 非リボソーム依存性ペプチド合成酵素 / 酵母 / ditryptophenaline / 糸状菌 / 生合成
研究概要

昨年度までの研究では、酵母S. cerevisiaeを宿主としたサフラマイシン合成システムを構築するため、生合成に必要と考えられる合計8個の生合成遺伝子群(sfntA, B, C, D, M_1, M_2, M_3, O_2)のクローニングに成功していた。また、8個の生合成遺伝子を発現させた後、ウエスタンブロッティングによって酵素へ翻訳されていることを確認してきた。今年度の研究では、サフラマイシンに加え、糸状菌Aspergiilus flavusより単離されたditryptophenaline (DTP)の生合成経路に関する研究を行った。DTPはフェニルアラニンおよびトリプトファンが縮合したdiketopiperazineが二量体を形成した特徴的な構造を有する化合物であり、その生合成経路および二量体化反応メカニズムの解明を目的とした実験を行った。その結果、これまでにないシトクロムP450の機能を発見し筆頭著者として論文を発表することに至った。この酵素が、二量体型ペプチド系天然物の生合成に関して重要な役割を果たしていることが明らかとなった。本酵素遺伝子を欠損させることで、それぞれの単量体のペプチド系天然物が単離され、これを基質として二量体化を触媒する酵素であることを突き止めた。また酵母発現系を用いた異種発現により得られたミクロソーム画分を用い、反応機構を詳細に調べたところ、中間体および生成物の化学構造と酵素の相同性検索による機能予測からラジカル種が生成され、これが活性種となり二量体化反応が進行すると推定した。さらに、いくつかのペプチド単量体基質を酵素反応させることで非天然型の二量体を生合成することも確認できた。本酵素を用いた二量体型ペプチド系化合物のライブラリーを構築することも可能となると期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

酵母S. cerevisiaeを宿主としたサフラマイシン合成システムを構築するため、生合成に必要と考えられる合計8個の生合成遺伝子群(sfmA, B, C, D, M_1, M_2, M_3, O_2)のクローニングに成功していた。また、8個の生合成遺伝子を発現させた後、ウエスタンブロッティングによって酵素へ翻訳されていることを確認してきた。本年度はサフラマイシンと同様のペプチド系化合物であり、より複雑な糸状菌由来の遺伝子により生合成されるditryptophenalineの生合成経路の解明に取り組んだ。その結果、生合成経路を再構築することに成功し、鍵反応を司る酵素を用いることで、新規化合物の創出にも成功した。以上の点から、当初計画していたサフラマイシンの生合成に加え、他の化合物の生合成についても解明することができたため、予想以上の進展がみられたと考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度に得られた結果の大きな点として、ditryptophenalineの生合成にはシトクロムP450が大きく関与しており、本酵素がラジカル反応を介し二量体化反応を触媒することを明らかにした。しかし、ラジカル反応を直接的に観察することは困難であること、シトクロムP450が膜結合型タンパク質であるために、精製酵素を獲得することができなかった点が問題点として挙げられた。そこで、今後の方針としては、鍵反応を触媒するシトクロムP450を大腸菌などで異種発現させ、精製酵素を獲得した後に、X線結晶構造解析に供することで、タンパク質の立体構造を解析することが必要であると考えられる。そのためには、コドン配列の最適化や、膜貫通ドメインの除去などを行う必要があると考えられる。

報告書

(3件)
  • 2013 実績報告書
  • 2012 実績報告書
  • 2011 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Cytochrome P450 as dimerization catalyst in diketopiperazine alkaloid biosynthesis.2014

    • 著者名/発表者名
      Saruwatari, T., Yagishita, F., Mino, T., Noguchi, H., Hotta, K., Watanabe, K.
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 15 号: 5 ページ: 656-659

    • DOI

      10.1002/cbic.201300751

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Practical Synthesis of DOPA Derivative for Biosynthetic Production of Potent Antitumor Natural Products, Saframycins and Ecteinascidin 7432011

    • 著者名/発表者名
      Kohei Torikai
    • 雑誌名

      Letters in Organic Chemistry

      巻: 8 号: 10 ページ: 686-689

    • DOI

      10.2174/157017811799304160

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Ditryptophenaline生合成経路の解明2014

    • 著者名/発表者名
      猿渡隆佳, 野口博司, 守屋央朗, 渡辺賢二
    • 学会等名
      日本薬学会第134年会(熊本)
    • 発表場所
      熊本大学
    • 年月日
      2014-03-28
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] Cytochrome P450 as dimerization catalyst in diketopiperazine alkaloid biosynthesis2014

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi SARUWATARI, Fumitoshi YAGISHITA, Takashi MINO, Hiroshi NOGUCHI, Kinya HOTTA, Kenji WATANABE^1
    • 学会等名
      247^<th> ACS National Meeting and Exposition
    • 発表場所
      Dallas, Texas, USA
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] Ditryptophenaline生合成経路の解明2013

    • 著者名/発表者名
      猿渡隆佳
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2013-03-28
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] Overexpressing transcriptional regulator in Microsporum canis activates a silent biosynthetic pathway to produce novel natural product2012

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Saruwatari
    • 学会等名
      2nd JSPS-NUS Meeting on Natural Product Biosynthesis
    • 発表場所
      シンガポール
    • 年月日
      2012-10-05
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] 生合成遺伝子の異種発現による抗腫瘍性生物活性物質サフラマイシンの合成2012

    • 著者名/発表者名
      猿渡隆佳
    • 学会等名
      日本薬学会第132年会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2012-03-29
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] 糸状菌由来休眠型生合成遺伝子の活性化によるポリケタイド系天然物合成システムの構築2012

    • 著者名/発表者名
      猿渡隆佳
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2012-03-26
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] 生合成遺伝子の異種発現による抗腫瘍性生物活性物質サフラマイシンの合成2012

    • 著者名/発表者名
      猿渡隆佳
    • 学会等名
      日本農芸化学会2012年度大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2012-03-23
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Total engineered biosynthesis of tetrahydroisoquinoline antibiotics in yeast2011

    • 著者名/発表者名
      Takayoshi Saruwatari
    • 学会等名
      静岡健康・長寿学術フォーラム2011および第4回国際健康長寿科学会議(4^<th> International Conference on Health and Longevity Sciences (ICHALS)
    • 発表場所
      静岡
    • 年月日
      2011-10-21
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://www015.upp.so-net.ne.jp/kenji55-lab/index.html

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://www015.upp.so-net.ne.jp/kenji55-lab/index.html

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書

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公開日: 2011-12-12   更新日: 2024-03-26  

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