研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)のような一次元ナノ材料は流動場,電場,磁場などの外場中で高い配向性を示すことが知られている.電界紡糸法は,高電場下において形成される帯電した微細な流動場(ジェット)を利用したナノファイバー作製法である.電界紡糸法により電場とナノ流動場という2つの外場を利用して高濃度CNT分散液を紡糸することによって,高い配向性を持つ高密度CNTファイバーの作製が可能になる.本研究では,電界紡糸法を用いてCNTを高密度かつ高配向な状態で含み,電気伝導性,熱伝導性,機械特性に優れた高機能CNTファイバーの作製を行う.繊維内でのCNT配向性および密着性の制御因子を明らかにし,1,000S/cm以上の電気伝導性の達成を目的とする.さらに,作製したCNTファイバーを利用した蓄電デバイスを作製・評価し、電池およびキャパシタ電極応用への指針を示す. 本年度の研究では,CNTに代わり新たにグラフェンナノリボン(GNR)を用いた.GNRはCNT同様,1次元(リボン形状)の高結晶カーボンナノ材料であるため,電界紡糸プロセスにおけるファイバー内での配向が期待できる.さらに,リボン形状であるため,内部に空間を有するチューブ状のCNTよりも,フィラーとして少ない添加量での機能発現が期待される.本研究では,このようなGNRを用いたカーボンコンポジットナノファイバーの作製について検討を行った。作製したGNR/カーボンコンポジットナノファイバーは高機械特性(引張強度<400MPa),電気特性(電気伝導度<170S/cm)を示し,新たなカーボンコンポジット材料の作製プロセスとしての指針を示すことに成功した(現在,ACS Nanoへ投稿中).
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