研究課題/領域番号 |
11J09458
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 晶子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 流域圏 / 文化的景観 / ランドスケープ / 熱帯島嶼 / パラオ共和国 |
研究概要 |
本年度は、太平洋島嶼パラオ共和国における文化的景観保全に基づく流域圏マネジメントに関する研究として、小流域のアグロフォレストリーに立地するタロイモ水田の塩害被害に関する研究を行った。一般的に太平洋島嶼は、世界の平均よりも高いレベルで海水面上昇が発生しており、パラオ共和国では、1993年以降、毎年平均9mm海水面が上昇している。研究では、まず、集落でのヒアリング調査により海水面上昇による文化的景観への影響の概要を把握し、低湿地部のタロイモ水田の塩害被害、沿岸部の海岸浸食、高潮被害が顕在化していることが分かった。次に、集落の文化的景観の中でも最も重要な要素であるタロイモ水田に焦点をあて、塩害被害調査を実施した。その結果、水面上昇に伴うタロイモ水田での沿岸被害は確かに顕著となっているが、耕作放棄地の増加や沿岸部での土地利用変化という社会的背景が、被害を増大させる要因となっていることが明らかとなった。特に、水田に真水を供給する灌漑システムが、耕作放棄や隣接する土地利用変化により影響を受け、農地に塩分が溜まりやすい状況となっていることが明らかとなった。すなわち、海水面上昇による集落の文化的景観への影響は、単に自然的要因だけでなく、土地利用変化やライフスタイル変化などの社会的要因が関係する複合的課題であることが分かった。最後に、この結果を流域圏マネジメントの関わりの観点から考察した。小流域における集落の持続的土地利用システムの実態は、開発圧力の増加や海水面上昇の影響など、集落内外の様々な要因によって常に変化にさらされている。小流域内の集落の文化的景観の持続的維持のためには、一見個別に捉えられがちな開発による土地利用変化、人々のライフスタイル変化、海水面上昇などの自然現象の相互の関係性に着目することが特に重要であり、そのための空間的枠組みとして、小流域という住民自らが管理可能な単位が有効であると考えられた。
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