研究課題
特別研究員奨励費
ゼオライトは、結晶性多孔質アルミノケイ酸塩であり、触媒や吸着剤、イオン交換剤などとして広く工業的に利用されている。その構造は四配位のケイ素原子やアルミニウム原子と酸素原子からなるTO4ユニットを基本単位としている。更に、このTO4ユニットがいくつか(数個~数十個)つながることにより、ゼオライト中においてcomposite building unit (CBU)と呼ばれる構造単位となる。これまで、ゼオライトの構造をCBUの単位で理解することは行われてきていたが、これを実際の実験系に応用した例は殆ど無い。本研究では、ゼオライトの構造をCBUにより理解し、実際の合成に活かすことを目指し、有効な合成方法として確立させることを進めている。また、有機構造規定剤はゼオライト合成時に添加されるものであるが、高環境負荷、高コストの要因となっており、有機構造規定剤を用いない合成法が求められている。本研究では、種結晶添加法が有機構造規定剤無添加合成に有効であることを示してきた。本年度においては、これまでアルミノシリケート系に限られていた合成法をジンコシリケート系に拡張し、VET型構造を有するVPI-8について検討を行なった。このゼオライトは、これまで有機構造規定剤が必須とされてきたが、本研究によって、有機構造規定剤を用いずに合成可能であることを初めて示した。さらに、高エネルギーX線回折、固体NMRなど複数の分析手法を駆使することにより、その反応メカニズムについての検討を行った。それにより、反応過程において、CBU類似の前駆体の存在の可能性を示し、これまで未解明であったゼオライトの生成過程についての知見を得た。
(抄録なし)
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