研究課題/領域番号 |
11J09740
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
国分 航士 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2013年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2012年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 日本近現代史 / 帝室制度調査局 / 帝室制度議会 / 王室法 / 栄典 / 位階 / 岡野敬次郎 / 奥田義人 / 帝室制度審議会 / 伊東巳代治 / 宮中 / 日本政治史 / 日本史 / 伊藤博文 / 天皇 / 皇室 |
研究概要 |
平成25年度は、資料の公開状況を踏まえ、宮内公文書館での調査に重点を置き、「特定歴史公文書等」の利用請求をさらに進めた。その中でも、とりわけ帝室制度調査局・帝室制度審議会関係の資料を精査した。 帝室制度調査局については・作成・配布された議案の整理を行い、法令案の作成過程をより精緻に再現し、その中から各御用掛の認識の差異をあぶり出す作業を行なった。その結果、これまでの研究でも既にその役割が着目されてきた有賀長雄の位置づけを、岡野敬次郎や奥田義人など他の御用掛と比較しつつ論じる視角を持つことができた。 帝室制度審議会については、議案の収集と共に、議事録の精読を進めた。特に栄典の一つである叙位、そして位階令に関しては、第62回内務省研究会にて報告を行なった。位階令の制定をめぐっては、内閣と宮内省を代表する形で参加していた各委員・御用掛たちが、帝室制度審議会という場で、「奉宣」の解釈、勅令・皇室令といった法令形式などの論点を、内閣と宮内省の関係や憲法と典範の関係を視野に入れた形で討議していた。位階は勲章や爵位とは異なり、その主管などがやや曖昧な栄典であり、審議の過程で、内閣と宮内省は「栄誉大権」をめぐる解釈の競演を繰り広げることとなった。伊東巳代治を総裁とする帝室制度審議会は、内閣と宮内省との間の調整を充分に行ない得なかったと評価することも可能であるが、あくまで審議会という空間での葛藤に留めることで、各機関同士の正面対立を防止する安全弁としての機能を一面では果たしたと位置づけることができよう。 こうした帝室制度調査局・帝室制度審議会の活動からは、明治立憲制の根底に存在する天皇の定置化をめぐる争点が、「立憲制」の定着と連関しつつ、「宮中・府中関係」を主軸として、論議されていたことが読み取れる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
帝室制度調査局、帝室制度審議会の作成した法令についての分析は、全体としては当初の研究計画以上の進展を見せたが、当初の計画で予定していた皇室財政と国家財政の関係については、いまだ充分な理解を得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、本研究課題の最終年度であった。本年度に充分な分析ができなかった、皇室財政と国家財政の関係をめぐる帝室制度調査局・帝室制度審議会の取り組みについては、比較の観点を意識しつつ、調査を続けたい。
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