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江戸時代の雛人形の頭髪に使用された黒染め生糸の素材技法および劣化機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11J10075
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 文化財科学
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

佐藤 萌  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2011 – 2012
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワード染織文化財 / 保存科学 / 天然繊維 / タンニン酸 / 鉄媒染 / 非破壊調査 / 圧縮試験 / 加速劣化
研究概要

江戸時代の雛人形の頭髪(スガ糸)には、タンニン酸と鉄媒染により染められた黒染め生糸が用いられ、繊維は酸や鉄による触媒作用の影響を受けて経年とともに劣化し粉末化することが問題となっている。本研究では、これまで修復困難で処分され、調査・研究の対象とされてこなかったスガ糸の制作技法を明らかにし、スガ糸の劣化速度を把握し寿命予測を行う評価法を確立することを目的とした。江戸時代の人形77体の頭髪剥落片の繊維素材を光学顕微鏡による断面観察とSEMによる表面観察により同定し、劣化因子である鉄イオンの有無をエネルギー分散型X線分析により確認した。生糸は53体、精練糸は10体、靱皮繊維は11体、人毛は3体で、殆どの繊維から鉄元素の存在が確認出来たことから、江戸時代のスガ糸には生糸と鉄媒染剤が使用されたことを明らかにした。さらに従来染織文化財の物性評価に用いられてきた引張試験に代わる評価法として、KES(Kawabata Evaluation System)圧縮試験によりスガ糸の圧縮回復性を求めることで、微量文化財試料での劣化度診断法の開発を行った。モデル試料を作製し(1wt%タンニン酸水溶液で染色の後2wt%硫酸第一鉄水溶液で媒染)、加速劣化(70℃,RH75%,70日間)に伴う繊維の圧縮特性と引張特性の経時変化を追った結果、試料の破断伸度が低下するにつれて圧縮回復性も低下する傾向にあった。江戸時代のスガ糸も、モデル試料で得られた脆弱な試料と類似した物性値を示した。このことから、今後引張試験を行うことが出来ない微量で脆弱な文化財試料に対して、その圧縮特性を測定することにより、ある程度の劣化度合いを計測することが出来ると期待する。

報告書

(1件)
  • 2011 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Non-destructive evaluation of deterioration of historic textiles by compression measurement using the 'Kawabata Evaluation System (KES)'2011

    • 著者名/発表者名
      Moe Sato, Satoko Okubayashi, Sachiko Sukigara, Masanori Sato
    • 雑誌名

      e-PRESERVATION Science

      巻: 8巻 ページ: 55-61

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 江戸時代における雛人形の頭髪に使用された黒染め繊維の素材と技法に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤萌, 奥林里子, 佐藤昌憲
    • 学会等名
      繊維学会年次大会
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都)
    • 年月日
      2011-06-08
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] 江戸時代における雛人形の頭髪に使用された黒染め繊維の素材技法研究2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤萌, 奥林里子, 佐藤昌憲
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第33回大会
    • 発表場所
      奈良県新公会堂(奈良県)
    • 年月日
      2011-06-05
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書

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公開日: 2011-12-12   更新日: 2024-03-26  

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