研究課題
特別研究員奨励費
平成25年度は、24年度に引き続き、一酸化炭素結合型ヘモグロビンの時間分解X線回折実験を行い、配位子の解離に伴う分子変形の過程を明らかにするため、室温付近でのポンプ-プロープ実験を行った。室温付近でのX線照射による試料のダメージを考慮すると、データセット当たりの回折イメージ数が抑えられる、白色X線での測定が適しているため、Laue法での測定を行った。配位子の解離効率を上げるため、アロステリックエフェクターを付加したヘモグロビンを測定試料とし、その一酸化炭素結合型ヘモグロビン単結晶の作製は、自治医科大学の生物物理学部門の研究室の設備を使用して行った。時間分解ポンプ-プローブ実験については、高エネルギー加速器研究機構のPF-AR/NW14Aにて行った。また、試料結晶をマウントする際の雰囲気制御等を行い、室温付近での試料の固定方法を改善した。その結果、現時点でレーザー照射前後での差電子マップの生成までを行う事ができた。他に、低温下のアロステリックエフェクター付きのヘモグロビンでは、時間とともに光解離した配位子がヘモグロビン分子内部の空洞にトラップされる様子が観測された。また、配位子の移動に伴うアミノ酸残基の原子位置のシフトについても観測することができた。また、同様の測定条件下において顕微分光実験を行い、光解離率を見積もることができた。現在この結果について、論文を執筆中である。これまでに得られたHbA、HbC、BzfHbCOの配位子光解離実験の結果については、2014年3月に行われた物構研サイエンスフェスタ2013にてポスター発表を行った。今後、アロステリックエフェクターを付加したヘモグロビンのラウエ回折実験の結果についても、継続的に成果発表を行う予定である。
(抄録なし)
すべて 2014 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
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