研究課題/領域番号 |
11J10429
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
齊藤 紘子 大阪市立大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2013年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 村落社会 / 領主支配 / 陣屋 / 伯太藩 / 和泉 / 飢饉 / 地域社会 / 相給村落 / 陣屋元村 / 大和小泉藩 / 大坂定番 / 郷宿 / 和泉国 |
研究概要 |
まず、伯太藩の地域社会に関する研究としては、和泉国大鳥郡の村々で構成される上神谷郷の特質についても、国文学研究資料館に所蔵されている上神谷小谷家文書などを閲覧・撮影し、これまで研究を行ってきた泉郡の村落社会のあり方と比較をしながら史料の検討を進めた。 次に、地域社会における救済に関する問題では、泉州泉郡に位置する池上村(伯太藩と大和小泉藩の相給村落)を対象として検討を続け、天明飢饉期に関する分析を論文にまとめ直し、佐賀朝・塚田孝・八木滋遍『近世身分社会の比較史―法と社会の視点から』(文学研究科叢書)に掲載された。この作業に続けて、寛政期~文化期の飢饉と救済の実態や、村内における「困窮人」の具体的な生活状況の分析を進め、2013年5月の市大日本史学会大会において研究報告を行った。また、その内容を論文にまとめて会誌に投稿した。本論文では、天明飢饉期のみならず、寛政~文化期にも地域的な不作傾向が続く中で、一村規模での救済が断続的に展開されたこと、またそうした状況のなかで、天明飢饉期と同様に「御救夫食」を申請するか、「返上夫食」貸下げの申請に回すかというかたちで飢渇者の振り分けが行われたことや、村と「困窮人」の間のみならず、地主の「家」と「困窮人」との関係についても、飢饉期の地主―小作関係の変化や、それと併存する年季奉公などのあり方を指摘した。また、2014年1月に上海大学で開催された大阪市立大学・上海大学共同国際シンポジウム「都市社会の方法と実践―中国と日本の比較を通じて」(若手研究者発表セッション)では、このような具体的分析の蓄積を踏まえて、救済や貧困を通じて地域社会論をどのように豊富化するか視点から総括的な報告を行うことができ、都市論や比較地域史の視点からの様々な意見を通じて、多くの論点や課題を自覚することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
村内での救済実態をみるなかで、領主によって行われた救済についても、村の中で施行などと組み合わされて、運用されていた実態などを考察することができ、18世紀以降の村落構造の実態や、村落社会の実態を踏まえた領主支配の特質について認識を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
泉州の伯太藩とその所領地域社会において、陣屋の成立・変遷過程と、陣屋元村を取り巻く郷・村落の社会構造・社会関係を明らかにしてきたこれまでの研究成果と、その伯太藩領と入り組み、同地域に展開する大和小泉藩領を対象として、村落社会の実態から領主支配の展開・特質を明らかにしてきた研究の成果を踏まえて、当該地域の村落社会からみた領主支配の特質を総括する。また、伯太藩領についても、錯綜所領が多い地域と、歴史的に形成されてきた生活レベルでのまとまりをもつ村々から構成される地域の違いに注目し、社会構造の展開を整理していきたい。
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