研究課題/領域番号 |
11J10451
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大井 赤亥 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
800千円 (直接経費: 800千円)
2012年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | ハロルド・ラスキ / 社会民主主義 / 共産主義 / 労働党 / 自由民主主義 / ラスキ / 多元的国家論 / キリスト教 / 労働組合 / ファシズム / マルクス主義 |
研究概要 |
平成24年(2012年)度は、修士論文以来のテーマであるH・ラスキの政治思想研究をさらに進展させ、その内容を学会報告および投稿論文の形で公表した。 第一に、修士論文の対象であった1920年代ラスキの主権国家論(多元的国家論)を、とりわけカトリック教会と労働組合に着目しながら投稿論文にまとめ、『政治思想研究』に掲載した。ラスキの初期国家論の本格的検討はこれまでなされてこなかった分野であり、本論文では、ラスキの初期著作の内実は重厚な中世教会史研究であったこと、労働組合への着目はむしろ1930年代以降のラスキの関心であったことなどを示した。 第二に、ラスキの思想変遷を追う形で考察対象の時代をあらため、1930年代におけるラスキのソ連認識、ファシズム認識を対象として、その時代的変容を考察した。ラスキの共産主義認識は長らく冷戦構造の地場のなかで捉えられ、その評価も冷戦的発想によって二分されてきたが、当研究では1930年代の新聞コラムや同時代的評論の実証的な読解の下、ラスキのソ連認識の好意的変容の過程を思想史的に描写した。 当研究の内容は『年報政治学2012-H』に掲載された。 第三に、1940年代におけるラスキの「同意革命論」を取り上げ、社会思想史学会第37回研究大会にて報告した。ラスキ「同意革命論」は、第二次大戦期における総力戦体制と政治的危機意識の蔓延を、そのままイギリスの社会主義化につなげようとしたラスキの政治実践であり、結果的には失敗におわったこの試みについて、「学者/知識人の政治関与」の視点から再評価を試みた。 その他、金沢大学の仲正昌樹先生が編者となった、学部生向けの政治思想史の教科書『政治思想の知恵』(法律文化社、2013年)に、「ベンサム」を寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年(2012年)度は、二つの投稿論文、一つの分担執筆論文を活字化することができたので、研究のアウトプットという点ではおおむね満足のできるものであった。本年度はそれに加えて、さらに博士論文の構成執筆に従事した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年(2013年)度の最も重要な研究目標は、なにより博士論文の完成である。これまでの投稿論文を連続させて再構成する形で、現在すでに基本的な骨組みは完成しており、今後、論証の強化や文章の推敲などを進めていく予定である。第二に、博士論文提出後の研究テーマとしては、ラスキ以降のイギリス左翼思想、具体的には1960年以降に雑誌『ニュー・レフト・レビュー』を中心に活躍したイギリス・ニュー・レフトの思想の同時代的文脈と現代的意義を、思想史的に考察したいと考えている。
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