研究課題/領域番号 |
11J10607
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松井 功 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | バルクナノ結晶メタル / 電解析出法 / Ni / Ni-W合金 / Fe-Ni合金 / Al / 引張特性 / 延性改善 / A1 / Fe / Fe-C合金 |
研究概要 |
本研究の目的は、電解析出法により、高強度と高延性を両立するバルクナノ結晶メタルの創製および実用性を具現化することである。H25年度に得られた結果は以下の通りである。 【高強度・高延性を示す電析バルクナノ結晶メタルの作製指針】 電析バルクナノ結晶Ni-W合金における引張特性評価を通して、電析バルクナノ結晶メタルの延性発現機構について調査を行った。引張試験において、バルクナノ結晶Ni-W合金の延性は、0-13%の範囲で大きく変化した。さらに、(200)面配向度が増加するとともに、引張延性の値が増加する傾向が確認された。引張延性を配向性で整理できた要因として、電析物の配向性が、電析中の成長モードに強く影響を受けていることが考えられた。例えば、(111)面配向、(200)面配向、(220)面配向は、それぞれinhibited-lateral growth、free-lateral growth、inhibited-out growthの成長モードによって形成することが知られている。また、inhibited-lateral growth、inhibited-out growthにおいて、それぞれ水素ガス、水素原子が、電析反応を阻害すると考えられている。実際に、(220)面配向を示すバルクナノ結晶Ni-W合金において、多量の水素が検出された。また、(111)面配向を示すバルクナノ結晶Ni-W合金の断面組織において、水素ガスの巻き込み、脱離により形成されたと考えられるナノクラックが観察された。一方で、(200)面配向を示すバルクナノ結晶Ni-W合金の断面組織においては、ナノクラックは確認されなかった。以上の結果から、電析バルクナノ結晶メタルの延性発現は、電析時の成長モードに強く影響を受けていることを示した。さらに、本研究の結果から、成長モードと電析条件の関係を明らかにし、高延性バルクナノ結晶メタルを得るための作製条件設定指針の提案を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高強度・高延性を示す電析バルクナノ結晶Ni-W合金の作製に成功している。さらに、種々の条件下で作製したバルクナノ結晶Ni-W合金の引張試験と通して、電析バルクナノ結晶メタルにおける延性と配向性の間に関連性をあることを見出した。そして、この関連性をべースに電析バルクナノ結晶メタルの作製指針を提案するなど当初の計画通り、もしくはそれ以上の成果を挙げることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、電析バルクナノ結晶メタルが延性を発現するための作製条件を明らかにすることができた。今後は、本作製指針に基づいて高延性バルクナノ結晶メタルを作製していくとともに、ナノ結晶メタルの延性メカニズムの体系化を行っていく予定である。
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