研究課題/領域番号 |
11J10697
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
國武 絵美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | cellobiose-and cellulose responsive induction / (ヘミ)セルラーゼ / 遺伝子発現制御 / cellobiose response regulator C1bR / Aspergillus aculeatus / cellobiose response regulator ClbR |
研究概要 |
本研究はおAspergillus aculeatusにおける(ヘミ)セルラーゼ遺伝子の発現制御機構を解明することを目的として、我々が同定した新奇Zn(II)_2Cys_6型転写因子様タンパク質Cellulose response regulator ClbRの機能解析を行い、以下の成果を得た。 1.ClbR高発現株における分泌タンパク質の同定及び転写解析 olbR高発現株のセクレトーム解析を行い、ClbR制御下で転写が活性化される遺伝子群の中でもその生産量に違いがあることを明らかにした。転写解析でも同様にClbR高発現によるセルラーゼ遺伝子への影響が異なることを見出し、ClbRが他の因子と協調的に機能する可能性があることを示した。 2.Yeasttwohybrid法を用いたClbRと相互作用する因子の探索 既知の糖質加水分解酵素遺伝子の転写活性化因子とClbRパラログからClbRと相互作用する因子を探索し、ClbRと相同性42%のパラログ(ClbR2)を単離した。遺伝子破壊株を用いた転写解析より、ClbRとClbR2はセルロース性基質を誘導剤とした際に、同一経路を介してセルラーゼ遺伝子の経路特異的転写活性化因子ManRを制御し、セルラーゼ遺伝子の発現に寄与することを明らかにした。 3.ClbRの機能ドメイン解析 C末端側から順次欠損した変異体を用いた解析からC末端側105aa内に転写活性化能を有することを示した。GFP融合タンパク質として発現させた各変異体の局在を観察した結果、推定DNA結合ドメイン内に核移行シグナルが存在することが示唆された。 4.T-DNAタギング法を用いた新奇セルラーゼ遺伝子発現制御因子の探索 ClbRと同手法により,T-DNA挿入遺伝子破壊ライブラリからセルラーゼ遺伝子発現に関与する因子をスクリーニングし,新たに2株のセルラーゼ遺伝子発現制御因子欠損候補株を単離した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度及び本年度の成果よりClbRが他の因子と協調的に機能することが示唆されたため、本年度はClbRの相互作用因子の解析を中心に研究を進めた結果、ClbR2を単離し、ClbRとClbR2がmanRの制御に関与するという新たな知見を得た。ClbRのDNA結合特性は明らかには出来なかったが、本年度の成果よりClbRのターゲット遺伝子の候補を新たに特定出来、さらにClbR単独ではDNAに結合できない可能性を見出すことが出来た。ClbRの機能ドメイン解析及び、新たなセルラーゼ遺伝子発現制御因子の単離については当初の計画通り進展した。
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今後の研究の推進方策 |
ClbRのDNAへの結合様式の解析はセルラーゼ遺伝子プロモータだけでなくmanRプロモータに対しても行う必要がある。またClbRとClbR2の両因子を混合してEMSA法を実施したり、クロマチン免疫沈降法を行うことにより両因子が同一DNA領域に結合するかどうかを明らかにしていく。ClbRの機能ドメイン解析に関しては引き続き行い、加えてClbR2も同様に解析することによりセルラーゼ遺伝子発現におけるClbR-ClbR2の活性化機構について検証する。現在酵母ツーハイブリッド法によりClbR2と相互作用する因子や、T-DNAタギングを利用したスクリーニングにより単離した新たなセルラーゼ遺伝子発現制御因子の候補が取得されているため、これらの解析も進めていくことによりセルラーゼ遺伝子発現制御機構の包括的な理解を目指す。
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