研究概要 |
深紫外光デバイスへの応用が期待されている波長250から300nmをターゲットとした受発光素子の開発を目指して,高Al組成のAlGaN膜について転位密度が10^7cm^<-2>台以下の高品質な結晶の成長技術の確立を目的とした.AlGaN系デバイスの高性能化には,下地層として多く用いられているAlN膜の高品質化が必須であるが,AlN成長では横方向成長速度が小さいために高品質化が困難である.そこで,サファイア界面での成長制御の重要性に着目し,高品質なAlN膜を得るために有効な界面初期核制御を行い,さらには,高品質なAlN膜上AlGaN膜が得られる方法を検討することを2011年度の具体的研究計画とした. サファイア基板上AlN膜の高品質化に向けて,成長温度を変化させたAlN核形成層について,X線回折測定法,X線光電子分光法,X線反射率法,原子間力顕微鏡観察により詳細に評価したところ,サファイアとAlNの間に界面層であるAlONを形成することが明らかとなり,その界面層は成長温度が上がるにつれて形成が顕著であることが分かった.同時に,成長温度変化により核形成層のグレインサイズ,tilt揺らぎ,及び界面層を制御出来ることから,その後形成するAlN膜の結晶性,極性も制御可能であることを見出した.最適な条件を検討した結果,螺旋転位密度が10^6cm^<-2>台前半の結晶性が良好,且つ表面平坦性の良好なAlN膜を得ることが出来,高品質で平坦なAl極性のAlN膜を得るには,インバージョンドメインの消滅と,tilt揺らぎの小さな核形成層の形成という,界面での制御が重要であることが示された.
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