研究課題/領域番号 |
11J11124
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
湊 雄一 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DCl)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 構造生物学 / 核磁気共鳴法 / 膜蛋白質 / シグナル伝達 / 国際研究者交流 / フィンランド共和国 |
研究概要 |
研究では、大腸菌走化性分子複合体の結合様式を、各構成蛋白質が正しい全体構造を保持した状態にて、溶液NMR法による構造生物学的解析を行うことにより、膜外から膜内のエフェクター分子にシグナルが伝達される機構を解明することを目的とする。昨年度までに、区分安定同位体標識法を利用して、全長CheAとCheYの相互作用をNMR法により調べた結果、CheAの活性ドメインであるP1ドメインとCheYは、全長ではじめて両者の活性部位同士が直接結合すること、およびその結合が平衡状態にあることを明らかとした。今年度は、上述のP1ドメインとCheYの結合およびその平衡の生物学的な意義について調べるため、変異体を用いた解析を行った。CheY上のP1ドメインとの結合界面上に位置する残基に変異を導入し、CheAとの親和性をITC実験により調べたところ、I20A変異体は、P2ドメイン単独との解離定数は野生型と同等であるが、CheA全長との親和性が低下することが示された。さらに、CheAに対して等量添加して、NMRスペクトルを取得したところ、野生型CheYを添加した際に観測された化学シフト変化が抑制されていた。したがって、120A変異体は、P1ドメインに対する親和性が低下していることが示された。さらに、Phos-tag SDS-PAGE解析を行ったところ、I20A変異体ではリン酸化CheYの生成量が低下していた。以上の結果に基づき、P1ドメインとCheYの結合が平衡状態にあることによって、P1ドメインはCheYだけでなく、ATP結合ドメインであるP4ドメインとも反応し、リン酸をP4ドメインからCheYへと効率的に受け渡すことを可能にしてやると考えた。このような結合様式は、一般に弱い相互作用ネットワークを形成する、シグナル伝達1分子複合体の相互作用様式を解明する上でも重要な知見を与えると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに全長CheAとCheYの詳細な相互作用解析を行い、両者の細胞内における相互作用様式を明らかにすることに成功した。さらに、相互作用様式に変調を与えた変異体では活性が低下することを見出し、相互作用の生物学的意義についても解明することに成功した。これらの達成度から、研究の目的と照らし、当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
刺激受容下での、細胞内のシグナル伝達機構を明らかとするために、今後は、膜蛋白質MCP存在下において、CheAとCheYの相互作用様式がどのように変化するかを調べる必要がある。本研究では、MCPを再構成高密度リボ蛋白質(rHDL)中に再構成することで、活性を保持した状態で、NMR解析を可能にする方法を既に確立している。今後は、MCP-rHDL存在下において、CheAとCheYの相互作用がどのように変化するかを、NMRを用いて詳細に調べることが期待される。
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