研究課題/領域番号 |
11J40016
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 順子 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(RPD)
|
研究期間 (年度) |
2011 – 2013
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2013年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | PGAM5 / ミトコンドリア / インフラマソーム / PARL / XIAP / IL-1β |
研究概要 |
所属研究室の解析により、新規セリン/スレオニン特異的プロテインホスフアターゼであることを明らかにしたPGAM5が、選択的スプライシングの活性化補助因子(co-activator)として知られるSRm160のリン酸化状態を調節することで選択的スプライシングを制御する活性を持つことを見いだし、その後の解析により、ミトコンドリアに局在することを示した。 一方、ミトコンドリアが、炎症性サイトカインであるIL-1βやIL-18の産生に重要な役割を担うシグナル伝達タンパク質複合体であるNALP3インフラマソームの活性化に寄与していることが他のいくつかの研究グループから報告された。そこで、NALP3インフラマソームの活性化におけるPGAM5の役割を検討するため、PGAM5ノックアウトマウスよりマクロファージおよび樹状細胞を調製し、Nigericinという薬剤によるインフラマソームの活性化がPGAM5ノックアウトマウス由来の細胞において減弱していることを明らかにした。また、THP-1細胞株を用い、Nigericinによるインフラマソーム活性化に対する脱共役剤CCCPの作用を調べたところ、CCCPの前投与によってミトコンドリアの膜電位を消失させておくと、Nigericinによるインフラマソームの活性化が部分的に低下することが分かった。よって、Nigericinによるインフラマソームの活性化にはミトコンドリアを介する経路と介さない経路が存在し、ミトコンドリアを介した経路にPGAM5が関わっているζとが示唆された。 加えて、PGAM5がミトコンドリアのストレス応答により、N末端での切断をうけることを明らかにし、この切断がミトコンドリアの品質管理に関わるタンパク質であるPARLに制御されていることを見いだした。このことは、PGAM5がミトコンドリアの品質管理で重要な役割を果たしている事を示唆している。 また、切断型PGAM5は、アポトーシス誘導時に細胞質へと放出され、XIAPの抑制を介し、アポトーシの促進に働く事を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリアの品質管理に関わるPARLによりPGAM5のN末端の切断が制御されている事を見いだした。加えて、切断型PGAM5が、アポトーシス誘導時に細胞質に放出され、XIAPを介してアポトーシスを制御している事を明らかとした。当初の方向性とは異なるが、新規プロテインホスファターゼの機能を明らかにしたという成果は大きく、おおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も、PGAM5の炎症制御における役割や、ミトコンドリアの品質管理における役割に加え, アホトーシス制御を中心に機能解析を進めて行くことで、新規プロテインホスファターゼの機能を明らかにする。
|