研究課題
特別研究員奨励費
昨年度は、これまでに独自に同定したATF3結合分子のうち、ヒストンメチル化酵素Xに関して、マクロファージ特異的X欠損マウス(Mac-X KOマウス)を用いた解析を主に進め、ATF3の炎症抑制作用においてXが重要であることの手がかりとなるデータを得た。本年度は、Xの炎症調節作用の分子機構をさらに詳細に明らかにする一方、ATF3結合分子であるストレス応答性分子ATF4についても作用機構および病態生理的意義の解析を行った。【ヒストンメチル化酵素Xの作用機構・病態生理的意義に関する検討】J774マクロファージ細胞株を用いて、Xノックダウン、およびXノックダウン株における野生型および変異型Xのレスキュー実験系を樹立した。Xは、ヒストンメチル化を介して直接IL-6の転写活性を抑制している可能性が示唆された。現在、クロマチン免疫沈降により、炎症性サイトカインプロモーターにおけるXおよびヒストンメチル化について解析中である。さらに、Xによるピストン制御によって、どのような炎症転写因子が影響を受けるのかについて、ATF3を含めて検討している。また、免疫沈降法を用いて、ATF3-X複合体の構成を明らかにし、ATF3の炎症抑制作用にXがどのように関わるかを明らかにしていく予定である。【ストレス応答性分子ATF4の作用機構・病態生理的意義に関する検討】ATF4 欠損マクロファージを用いて、飽和脂肪酸によるIL-6 産生におけるATF4の作用について解析した。飽和脂肪酸は、TLR4とは独立して、ストレス応答性転写因子ATF4とその下流の経路を強力に活性化し、IL-6の発現を誘導した。その機序として、IL-6プロモーターに対するATF4の直接作用と、NFkBの活性化を介する作用が明らかになった。また、ATF4はTLR4を介する炎症反応を増強し、細胞ストレス経路による炎症反応の調節機構が示唆された。
(抄録なし)
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Diabetes
巻: 63 号: 1 ページ: 152-61
10.2337/db13-0757
International Journal of Inflammation
巻: 2011 ページ: 720926-720926
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