研究課題
特別研究員奨励費
平成24年度までの研究により、肝臓内での、核内受容体ERとLXRのクロストークによる脂質合成制御機構を明らかにすることができた。ERはLXRと直接相互作用することでLXR標的配列に結合、転写コファクター群のリクルートを調節することによりLXRの転写活性化を制御することを示した。さらに、ERの従来の標的遺伝子の発現を変動させずにLXR転写活性化のみを制御する新規ERリガンドを同定することができた。マウスにおいて、ER-LXRクロストークは肝臓特異的に見られ、LXRによる肝臓の中性脂肪蓄積をERがリガンド依存的に抑制することを明らかにした。平成25年度は、前年度に新たに実施を開始させた項目である、ER-LXRクロストークの生体内作用についての解析を主に行った。高脂肪食負荷実験によりマウス肝臓内の脂質合成を促進させ、既存のERリガンド及び、新規ERリガンドの作用を検証した。高脂肪食に含まれる内因性コレステロール誘導体により肝臓内LXRは転写活性化し、下流の脂質合成遺伝子の発現を増加させ、脂肪肝へと変化させた。ERリガンドはこのLXRによる脂質蓄積作用を抑制することができた。そして、この作用を肝臓内ERが担っていることを、肝臓特異的ER欠損マウスを用いた実験により示すことができた。さらに、高脂肪食負荷した、野生型及び肝臓特異的ER欠損マウスの肝臓を用いた分子生物学手法を用いた実験を行った。その結果、高脂肪食負荷時においても、これまでに明らかにしたER-LXRクロストーク機構が働いていることを示した。本研究により、高脂肪食による脂肪肝の軽減にERリガンドが有効であることを示し、その分予機構を特定できたことは、新規ERリガンドによる脂肪肝治療薬としての開発に繋がると期待される。
(抄録なし)
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