研究課題
特別研究員奨励費
本年度の3つ研究計画(①発達障害児の行動評価システムの開発、②生理心理的手法を用いた認知・脳機能特性の解明、③ソーシャルスキルトレーニングツールの開発)とも、当初目標がほぼ達成できた。①ICTシステム開発については、他システムとの連携・利用の促進につなげるためシステムの各項目をICFコードを用いて標準化した。②について、他者の手の運動を、自身が運動せずに観察するときミラーニューロンシステム(MNS)が活性化しμ波の減衰が起る現象について、見るだけの時と意図的に模倣して見るときとμ波の減衰量を調べ、意図的に模倣して見た場合にμ波の減衰がより強くおきることが分かった。教育現場で動きを見て学ぶ場面で事前の「声掛け」の重要性を示せたといえる。また他者の表情等から意図・感情を読み取って自分の表情を作る場面では、他者の表情と表出する表情が一致する場合は反応速度が早く、不一致の場合は遅いことが知られているが、顔画像から性別を判断して特定の表情を表出する課題場面において、顔面筋電図から表出の反応速度を測定し、顔画像の表情(怒り・幸福・中性)と表出表情(怒り・幸福)の一致度による反応速度の差異を検討した。笑い・怒りとも、中性顔と比較して、一致の場合は早く促進、不一致の場合は抑制傾向がある。分散分析の結果、一致性の主効果が認められ、笑い・怒りとも、一致条件では促進、不一致条件では抑制効果が確認された。③について上記分析結果を事例検討会で検討し, 表情スキルトレーニングプログラムの開発を行い、コミュニケーション支援方法を導出した。その他、就労準備プログラムの開発、顔面筋電図を用いた表情表出トレーニングのためのバイオフィードバックを用いたプログラムの開発を行った。これら研究成果は国内外の学会誌等に発表するとともに、発達障害児の学習教室の運営等、地域と連携した実践活動も並行して行い、成果の社会還元を行った。
(抄録なし)
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