研究概要 |
パルス白色中性子ビーム集光用磁気レンズ(modulated-Permanent Magnet Sexutpole,mod-PMSx)及びそれを用いた小型集光型偏極極冷中性子小角散乱装置(Very Cold Neutron focusing polarized SANS,VCN-f-pol-SANS)の開発を行なっている。2009年にInstitut Laue-Langevin(ILL,France)にてVCNパルス白色ビームを用いて集光原理を実証しそれ受けて、2010年から2011年にかけて、集光力を増強し各所に改良を加えた二号機、mod-PMSx-IIを製作した。 2011年4月下旬から約3ヶ月間、ILLにてmod-PMSx-IIの集光テストを行い、波長バンド27.5A^-1<λ<55 A^-1の集光に成功した。ビーム繰り返し周期は最大 30Hzである。上記の波長バンドに対する焦点距離が0.46mと強い集光力を持つ。 集光テストとVCN-f-pol-SANSを構築し、デモンストレーションとして数種類の有機高分子及び磁性体サンプルの小角散乱を測定した。散乱ベクトルをqとして、4x10^-3 A^-1<q< 3x10^-1 A^-1の範囲を測定するよう検出器群を構築した。 最大1πになる散乱角に対してもサンプル長がほぼ等しくなるように、有効長が選択できる円筒殻状のサンプルセルを製作し、長波長中性子を用いる際に問題となるサンプル内での多重散乱問題を解決した。サンプル位置に集光されたビームのスピン偏極率約90%を維持し、磁性物質の磁気構造の偏極解析能も示した。 ANSTO(Australia)の反射率計Platypusを用いて上記実験で用いた中性子ビーム偏極用スーパーミラーの偏極率及び反射率の精密測定を行ない、また、主な解析と議論を共同研究者と共に行なった。これらの結果はさらなる解析を加えた上で論文にまとめる。
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