私は公募班であったので、毎年申請書類を提出していたが、本年度は4年間でおこなわれる特定領域研究「心の発達:認知的成長の機構」にとっての最終年度であった。私はこの特定領域研究で主として子どもの第2言語習得過程について研究してきた。第2言語としての英語習得研究と第2言語としての日本語習得研究の両方を行ってきた。使用データは1990年代の初期から取り続けてきたものである。 本年度は第2言語として英語を習得した日本人の子どもを被験者に、彼等の英語の初期発達過程について考察を加えた。特に、機能範疇(functional category)の出現時期とその習得について分析した。私の結論は、日本人の英語学習者は極めて早い時期から英語の機能範疇を発現させ、また使用できるようになるというものである。なぜならば、これは普遍文法に関わりのある領域であり、このような領域は早く習得でき、かつ母語からの転移というものも起こりにくい領域であるから、というものである。 研究発表も数多く行った。2000年6月にはJACET中部地区大会で、7月には日本認知科学会で、さらに、8月には日本言語科学研究会で、9月にはアメリカのウィスコンシン大学で開かれたSecond Language Research Forum(SLRF)で、私のこれまでの研究成果を口頭発表してきた。また、これらの口頭発表は、静岡大学教育学部研究紀要(2001年3月出版)を始めとして、その他現在投稿中のものも含め、2001年、2002年度中には論文として出版される見込みである。
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