研究課題/領域番号 |
12014207
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菊川 芳夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252421)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
|
キーワード | 格子ゲージ理論 / カイラル対称性 / Ginsparg-Wilson関係式 / 素粒子の標準模型 / CP不変性の破れ / マノマリー |
研究概要 |
今年度、我々は、素粒子の標準模型を与えるSU(3)_C×SU(2)_L×U(1)_Yカイラルゲージ理論のGinsparg-Wilson関係式にもとづく非摂動的な構成と(数値的)解析に関する研究を押し進めた。 第一に、SU(2)_L×U(1)_Y電弱ゲージ理論におけるゲージアノマリーの相殺に関する研究を行い、格子上の電弱ゲージ理論においても、ハイパーチャージについての条件Σ_rrY_r=0およびΣ_rY^3_r=0が満されていれば、ゲージアノマリーが厳密に相殺することを示した。この研究ではLuscherの与えた6次元のトポロジカルな場のコホモロジーによる分類を行った。この6次元のトポロジカルな場は、一般に、SU(2)_L×U(1)_Yすべでのゲージ場に関してトポロジカルな性質をもつ。これをU(1)_Yについてのトポロジカルな場とみなし、コホモロジーの議論をもちいることで、U(1)_Yゲージ場の依存性を限定できた。これより、上記のハイパーチャージについての条件とSU(2)_Lの擬実性をもちいることにより、SU(2)_L×U(1)_Yの混合ゲージアノマリーの厳密な相殺の証明が可能になった。 第二に、Kメソンの弱い相互作用による崩壊の確率振幅を、格子ゲージ理論を用いて数値的に計算する方法に関する研究をおこなった。Kメソンの崩壊振幅は、標準模型におけるCP不変性の破れをあたえる物理量、ε'/ε等、の計算に不可欠である。しがし、Euclid空間で定式化される格子ゲージ理論からは、直接、確率振幅を得ることはできないため、計算方法が確立していなかった。この問題に対して、最近、2つのπメソンからなる系のエネルギー固有値に現れる有限体積効果を用いると、Kメソンの崩壊振幅の計算が可能になることが明らかになった。この研究では、この方法が、2つのπメソンがゼロでない全運動量を持っている状態からなる部分空間に拡張できることを示した。この部分状態空間では、基底状態のエネルギーが有限体積効果をしめすため、エネルギー固有値から確率振幅を計算する際に、系統的な誤差をより小さくできると期待される。現在、理論的な検討がほぼ終わった段階であり、今後、格子ゲージ理論を用いた数値的な研究に進む計画である。
|