研究課題/領域番号 |
12015204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 文良 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (10007198)
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研究分担者 |
嶺岸 正 (協)仙台清掃公社, 環境計量センター, 係長(研究職)
張 其武 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (30292270)
加納 純也 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (40271978)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ゼロエミッション / メカノケミストリー / 粉砕 / PVC / 非加熱 |
研究概要 |
本研究は、ポリ塩化ビニル(PVC)廃棄物の非加熱処理法を開発し、資源の有効利用と環境保全に寄与することを目的としている。本法の原理は、PVCと脱塩素剤(CaOなど)を乾式粉砕(メカノケミカル(MC)処理)し、メカノケミカル(MC)固相反応によって炭化水素と塩化物とし、両者を水洗によって分離し、固体残渣ならびに溶液中の塩化物を有効利用しようとするものである。昨年度は生石灰(CaO)(脱塩素剤)をPVCに混合し、MC処理した結果、炭化水素と塩化物(例:CaOHCl)が粉砕物中に生成し、粉砕物を水洗すると塩化物はろ液に入り、炭化水素は固体残渣となり、反応を完結すればそれぞれ有効利用できることを確認した。 本年度(平成12年度)は、前年度の研究結果を踏まえ、脱塩素化剤としてCaOに代わり得るより安価で有効な脱塩素剤と反応促進剤(触媒)の探索を主目的とし、本MC法が他の有機系廃棄物の非加熱処理にも適用できるか否かを検討した。また、本MC法によるPVCの非加熱脱塩素化法における処理コストと従来の加熱法を基本とする脱塩素化法のそれとの比較についても調査・検討した。実験は、遊星ミル(Fritsch社(Germany)製、P-7型)を用い、空気中で粉砕(MC処理)した。MC反応の可否はX線回折法、赤外吸収分析法によって評価した。処理後の産物は水中で撹拌後そのスラリーをろ過し、固液分離し、ろ液中の塩素濃度をイオンクロマトグラフにより求めることによって、MC反応過程での脱塩素化率を算出した。脱塩素剤には消石灰、炭酸カルシウム、高炉スラグ(住友金属工業(株)製)を用い、また、反応促進剤としてシリカ、アルミナを用いた。その結果、脱塩素剤としては高炉スラグがCaOとほぼ同等の良好な脱塩素化率を達成し、有効であることが判明した。また、反応促進剤としてはシリカ、アルミナ粉末が共に同程度の成績を上げ、効果的であることを確認した。いずれにしてもMC法によってPVCの完全な脱塩素化が達成できることを確認した。PVCの脱塩素化法として高炉法、セメントキルン法、油化技術の加熱を基本とする処理方法があるが、その処理コストは、最低値が5万円/tonである。一方、MC法では1-2万/tonと試算され、本法の操業における優位性が示された。本法は,廃PVCの処理のみならずPVDF、PTFE、HBBなどハロゲン含有有機物の非加熱処理にも活用でき、ゼロエミッション、環境保全に貢献できることが示唆された。
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