研究概要 |
チタニア系光触媒を用い,難分解性有機塩素化合物としてPCBを最終的な分解対象とする表記課題に取り組むため,パラジウム添加チタニア薄膜光触媒を用い;メタノールに溶解している微量モノクロロベンゼンの光触媒分解を検討すること,および,クロム添加チタニア光触媒を用い,水中ギ酸の光触媒酸化分解を行わせることにより,活性種の挙動を調べることを目的とした. パラジウム添加チタニア薄膜光触媒はトランスエステル化反応を利用し,チタンテトライソプロポキシドと酢酸パラジウム(II)(対チタン比0.2〜1.0wt%)を用いて調製した.生成ゾルを直径2.0〜2.8mm(平均径2.2mm)のガラス粒子に塗布し,乾燥後,電気炉中500℃,1h焼成することにより触媒を得た.予備処理として,パラジウム添加チタニア塗布光触媒粒子を254nm光照射下で超音波洗浄することにより,TOC溶出が無視できることを確認した.つぎに,触媒粒子30gを内径10mmのパイレックス管に充填した反応管(充填高さ28cm)を回分式循環系(貯液槽容積289cm^3)内に設置し,微量モノクロロベンゼンを含むメタノール350cm^3を循環させながら(循環速度100cm^3/min)ブラックライトランプ(ToshibaFL20S-BLB,20W)2本を用いて光照射した.酸素溶存系でのモノクロロベンゼン分解挙動に関する実験結果から,非水溶媒中でもチタニア光触媒が有効であること,また,反応初期においてパラジウム添加効果がみられることが分かった.なお,窒素ガス共存の場合はパラジウム添加効果が認められない.一方,上と類似の調製法により得たクロム添加チタニア光触媒を用い,水中ギ酸の光触媒酸化分解を行った結果,クロム添加量が増加するほど分解速度か大きくなるが,一方で過酸化水素発生量は逆に減少傾向にあることが明らかとなった.
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