研究概要 |
走査型SQUID顕微鏡(SSM)を用い、高温超伝導体単結晶中に捕捉された磁束量子の直接観察を行った。観測されたボルテックス配列は、試料中に存在する比較的強いピニングサイトの分布を反映するものと考えられる。 最適ドープLaSr214系では磁束量子はランダムに分布しているのに対し、過剰ドープ系では、結晶軸とは無関係の方向に沿って1次元的に配列する傾向を示した。同じ試料で温度変化を詳細に調べたところ、帯状超伝導転移温度が高い領域が存在することがわかった。この帯状高Tc領域とほぼ平行して1次元磁束配列が生じることから、面状のピニングサイトが多数存在することを示唆している。その起源としては、組成の揺らぎ(特にSr濃度および酸素量)、あるいは小傾角粒界が考えられるが、2次元X線トポグラフの結果からは、小傾角粒界による磁束捕捉は否定された。 Bi2212系単結晶ab面でも同様の1次元磁束配列が観測されたが、その方向は、結晶軸の(100),(010)あるいは(110)方向に沿っていた。同試料では、EDX分析の結果、Bi及びSr濃度の空間的な変調が見られ、特にBi,Sr濃度の高い領域に磁束が捕捉されることが明らかとなった。
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