研究課題/領域番号 |
12018203
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
長谷部 文雄 茨城大学, 理学部, 助教授 (00261735)
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研究分担者 |
塩谷 雅人 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (50192604)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 熱帯 / 大気大循環 / オイラー循環 / 流線関数 / ベクトルポテンシャル / ラグランジュ循環 / 流跡線 / クラスター分析 |
研究概要 |
1981年から1999年までのECMWF全球解析値を用い、エルニーニョの指標として南方振動指数を利用し、オイラー的方法とラグランジュ的方法とにより熱帯太平洋域の循環場を記述した。 オイラー的記述法としては、850hPaと200hPaの等圧面上の水平風を発散風と回転風とに分解して解析し、以下の特徴を見いだした。通常状態においては、熱帯西太平洋下層の収束域は夏半球側に位置する。回転風場においては同じ位置に低気圧性の循環が存在し、上空には対応する発散が認められる。南東太平洋に位置する高気圧性の循環は、東部太平洋域で赤道方向へ向かう南東風と赤道上の東風の場の形成に寄与している。エルニーニョ期には、南半球夏季において下層の収束域・上層の発散域は中部太平洋まで移動する。回転風場においては、赤道中部太平洋に流線関数の極小域が現れる。しかし、北半球夏季においては速度ポテンシャル・流線関数とも空間分布に通常時と定性的な差は認め難くなる。 大気塊の運動をラグランジュ的に記述するために、熱帯太平洋域の3点を起点とする等温位面上の後方流跡線を求め、そのアンサンブルに2次元ユークリッド距離を類似度の指標とするクラスター分析を適用した。302K(海洋境界層上端)と320K(下部自由対流圏)との解析において以下の結果を得た。(1)302Kにおいて流跡線に最も強く影響するのはITCZへの吹き込みである。(2)東部・中部太平洋域のエルニーニョ期には起点付近を迷走する流跡線が見られる。このような流跡線は移動性擾乱に伴う局所的対流域への吹き込みを表す。(3)中部・西部太平洋域の320K高度において、冬半球側の亜熱帯ジェットから分岐して自由対流圏下層に到達する流跡線が見られる。これは、熱帯太平洋域の下部対流圏であっても、中・高緯度の成層圏起源の大気塊の観測される可能性を示唆する。
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