研究課題/領域番号 |
12019215
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
春日井 昇平 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70161049)
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研究分担者 |
黒田 真司 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50323689)
宮本 謙一 金沢大学, 医学部附属病院, 教授 (30100514)
藤沢 隆一 北海道大学, 歯学研究科, 助手 (40190029)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 骨 / 薬物輸送 / オステオカルシン / 骨粗鬆症 / estradiol / 薬物動態 |
研究概要 |
骨組織の2/3は無機質であり、その大部分はハイドロキシアパタイト(HA)である。したがって、HAに対する親和性を薬物に付与すると、その薬物は骨に選択的に作用する可能性が高い。我々は、HAに親和性を示すアスパラギン酸の連続配列(Asp)_6で薬物を修飾すると、その薬物は骨に選択的な作用を示すことを証明した。次に、HAに親和性を示すと考えられるγカルボキシルグルタミン酸(Gla)による薬物修飾について検討した。蛍光物質であるdansilに(Gla)残基を1-3個結合させた化合物を作製した。(Gla)残基の数を増加させるとHAに対する親和性が増加した。次に、これらの化合物をマウスに皮下注射し、蛍光の分布を検討した。(Gla)_3-dansilを投与した場合に、骨に特異的に蛍光が分布しおり、その他の組織には蛍光が観察されなかった。そこで、(Gla)_3-estradiolを作製し、この化合物の骨特異性について、卵巣摘出(OVX)マウスを用いて検討をおこなった。OVXマウスにおいては、骨量の減少と子宮の萎縮が起き、OVXマウスにestradiolを投与すると、骨量の回復と子宮の肥大が起きる。OVXマウスに(Gla)_3-estradiolを投与した場合は、骨量の回復が起きたが、子宮の肥大は観察されなかった。この結果は、(Gla)_3により薬物を修飾すると、その薬物は骨に選択的に作用することを示している。EstradiolはMCF-7細胞(ヒト乳癌細胞株)の増殖を刺激する。(Gla)_3-estradiolはこの細胞の増殖を刺激しないこと、(Gla)_3-estradiolのエストロゲン受容体に対する親和性が低かったことから、(Gla)_3-estradiolはestradiol様作用を示しにくいと考えられる。(Gla)_3-estradiolが骨に特異的に作用するメカニズムとしては、この化合物が骨表面に特異的に吸着し、骨吸収の過程で修飾部位が切られ、活性型のestradiolが放出され、骨に特異的に作用が表れることが考えられる。
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