研究概要 |
高度好塩性古細菌Haloarcula japonicaのハロロドプシン(hR)様タンパク質(アニオンポンプ)遺伝子のPCR増幅と,そのPCR産物をプローブとして染色体からのクローニングを行った.類縁菌hR様タンパク質のアミノ酸配列に基づくコンセンサスPCRにより,本菌bR様タンパク質遺伝子を増幅した.さらに,このPCR産物をプローブとして用いることにより,hR様タンパク質遺伝子の染色体からのクローニングに成功した.染色体よりクローニングしたH.japonica hR様タンパク質遺伝子は828塩基からなるオープンリーディングフレームを含んでおり,276アミノ酸をコードしていた.遺伝子から類推されるアミノ酸配列を類縁菌hR様タンパク質と比較したところ,とりわけクルックスハロロドプシン(chR)と高い相同性を有しており,本菌hR様タンパク質はchRファミリーに属することが明らかとなった.chR遺伝子の転写は,他のイオンポンプ遺伝子の場合とは異なり,光照射により誘導され,低酸素分圧下においては誘導されないことが明らかとなった. また,既にクローニングしたH.japonicaクルックスロドプシン(cR;プロトンポンプ)遺伝子の発現制御遺伝子の検索を目的として,cR遺伝子上流域の解析を行った.その結果,その領域にはATP合成酵素遺伝子の一部が存在していることが明らかとなった.さらに,染色体ウォーキングを行い,ATP合成酵素遺伝子A1パート領域の取得に成功した.ATP合成酵素遺伝子の塩基配列決定により,そのアミノ酸配列を明らかにすることができた.
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