研究課題/領域番号 |
12019227
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
魚住 信之 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (40223515)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | トポロジー / 膜蛋白質 / Escherichia coli / AtHKT1 / AtKUP1 / 膜貫通構造 / アルカリフォスファターゼ / K<SUP>+< / SUP> |
研究概要 |
1)植物のAtKUP1は大腸菌で活性発現することはすでに報告している。植物KUP系の輸送体トポロジーをPhoA融合法で大腸菌発現系を用いて決定した。13ヶ所存在する疎水領域のうち7ヶ所は膜貫通構造を形成することが明らかとなった。高い疎水領域であるのにもかかわらず膜に貫通していない部分が存在した。この領域は一部が膜に埋まっている可能性が考えられ、さらにイオン輸送孔を形成している可能性がある。限定したこの部分をさらに詳細に検討する必要がある。 2)抗体認識部位をAtHKT1に導入し動物の発現系で検討した。同時に糖鎖修飾部位も創出して小胞体膜を用いて膜領域の配向性を調べた。FLAG抗体認識部位を5カ所、糖鎖修飾部位を7カ所検討したところ大腸菌で決定したトポロジーとすべての点で一致した。この結果、大腸菌発現系、抗体認識法による動物細胞の発現系および小胞体膜を用いた糖鎖修飾法によってAtHKT1は8回膜貫通構造を有すること証明した。この決定したAtHKT1の膜貫通構造は他のグループが報告されている構造とは異なる結果となった。我々の構造モデルは複数の方法で導き出したことから信憑性がより高いと考えている。この膜貫通構造の決定に基づいてイオン選択孔の位置の特定を行うことが可能となり、現在そのイオン選択孔を解析している。 3)AtHKT1には一カ所N型糖鎖修飾が予想される残基が存在する。イオン透過孔に面する箇所の糖鎖修飾の有無がK<SUP>+</SUP>Na<SUP>+</SUP>のイオン選択性に影響を与えている可能性がある。糖鎖修飾機能をもつ真核細胞発現系とそれを持たない大腸菌発現系の差異を検討した。糖鎖非修飾に残基置換したAtHKT1変異蛋白質を作成して卵母細胞でイオン電流を膜電位固定法で調べたところ糖鎖修飾はイオン透過性には関与しないことがわかった。大腸菌と真核細胞の蛋白質への修飾の差異の一つとして糖鎖修飾の有無があるが、本膜蛋白質ではその影響ではなかった。大腸菌は酵母や動物細胞よりもサイズが小さいため、K<SUP>+</SUP>の要求性が小さいことからAtHKT1は大腸菌においてK<SUP>+</SUP>の取り込み活性変異を相補したと考えている。酵母や動物の膜蛋白質発現系を補うもう一つの蛋白質発現系として有効であると考えられる。
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