研究課題/領域番号 |
12019234
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
水谷 義 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40229696)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 分子認識 / ポルフィリン / DNA / 人工レセプター / 疎水相互作用 / 静電相互作用 |
研究概要 |
水中における生体機能分子の認識機構の解明と、生化学分子を高親和性で認識しうる人工レセプター分子の開発を目指し、ポルフィリン誘導体の合成を行った。この人工レセプターは、2分子のポルフィリンをメソ位でフェニレン基を介して結合させたポルフィリン2量体であり、メソ位のフェニル基に、多くのω-カルボキシアルキル基を有する。分子の外部はイオン基で分子全体が水溶性になるものの、内部に疎水空間を有するように設計したものである。この分子の合成は、まず、ω-カルボキシアルキル基置換ポルフィリンを合成し、メソ位に硼素基を導入後、パラジウムを用いたクロスカップリング反応によって、選択的かつ高収率で得ることができた。このポルフィリン誘導体はDNAのインターカレーター分子を水中で高い親和性で認識することが示された。特に、アクリジンオレンジ、DAPI、エチジウムブロミドなどに対する解離定数はナノモーラーのオーダーであることが、蛍光スペクトルを用いた滴定実験から明らかになった。ゲスト選択性、溶媒効果、イオン強度依存性などを調べることによって、この高い親和性発現のメカニズムは、疎水相互作用と静電相互作用のフラストレーションによるホストコンフォーメーションの不安定性が疎水性のカチオンであるゲストの結合によって解消するためであることが示唆され、柔軟な構造を有する水溶性レセプターにおいてもタンパク質に匹敵する強い認識が可能であることを示した。さらに、このレセプターを利用して、DNAに結合したインターカレーターを競争的に引き抜くことも可能であることを蛍光スペクトル、可視吸収スペクトルなどにより明らかにした。また、このレセプターは、配位性の側鎖をもつオリゴペプチドを強く認識することも見いだした。以上のように、数ステップの合成経路で、タンパク質と同程度の親和性を有する人工レセプター分子の合成が可能になった。
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