研究課題/領域番号 |
12019235
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 賢一 京都大学, 医学研究科, 教授 (70034030)
|
研究分担者 |
寺田 智祐 京都大学, 医学研究科, 助手 (10324641)
桂 敏也 京都大学, 医学研究科, 助手 (10283615)
齋藤 秀之 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40225727)
|
研究期間 (年度) |
2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 薬物送達システム / 薬物トランスポータ / ペプチドトランスポータ / 小腸上皮細胞 / 刷子縁膜 / 側底膜 |
研究概要 |
我々はこれまでに、小腸上皮細胞の刷子縁膜に発現するペプチドトランスポータ(PEPT1)が、経口用β-ラクタム抗生物質などペプチド類似薬物を輸送することを明らかにしてきた。さらに平成10-11年度本領域の研究実施において、抗ウイルス剤アシクロビルのL-バリンエステル体であるバラシクロビル(Val-ACV)が、PEPT1を介して輸送されること、並びに修飾に用いるアミノ酸の種類としてはバリンなど分岐側鎖を持つアミノ酸が有効であることを実証し、PEPT1を利用した難吸収性薬物の吸収改善の可能性について報告した。本研究では、小腸上皮細胞の側底膜に発現するペプチドトランスポータの機能特性について解析を行い、PEPT1並びに側底膜型ペプチドトランスポータの基質認識特性に基づいた薬物吸収改善のための分子設計について評価した。 小腸上皮細胞の側底膜には、刷子縁膜側のPEPT1と異なるペプチドトランスポータが発現していることを見い出した。側底膜型ペプチドトランスポータは、濃度勾配に従った輸送を行う促進拡散型のトランスポータであり、PEPT1に比べて低親和性であった。PEPT1及び側底膜型ペプチドトランスポータの基質特異性を検討したところ、両トランスポータはペプチド性のみならずVal-ACVやδ-アミノレブリン酸(δ-ALA)など非ペプチド性化合物を認識し、輸送することが判明した。そこで、PEPT1並びに側底膜型ペプチドトランスポータに基質として認識されるための構造を解析した結果、α-またはβ-アミノカルボニル基が重要な構造であることが示唆された。 Val-ACVなどアミノ酸エステル化合物は小腸上皮細胞内で代謝されることから、アミノ酸のエステル型プロドラックの場合には、PEPT1が重要な役割を果たしていると考えられる。一方、ペプチド類似薬物やδ-ALAは小腸上皮細胞内で代謝されにくいため、PEPT1と側底膜型ペプチドトランスポータの機能的連関が重要であると考えられる。これらの研究成果は、PEPT1と側底膜型ペプチドトランスポータの基質認識能を利用した薬物送達システムの開発に、有用な基礎的情報を提供するものと考えられる。
|