研究概要 |
特定の重金属を識別する金属タンパク質を創製し、重金属解毒等の医療医薬に、又は環境中の重金属モニターとして集積除去に関わる新素材としての機能を開発することを目的に下記の研究を行った。 1)重金属結合タンパク質の発現生産効率の開発 PCR反応によってメタロチオネイン遺伝子を増幅し、増幅産物を制限酵素処理後、Intein融合ベクターpTYB11に挿入し、Intein融合発現ベクターを構築した。培養後の菌体を破砕し、アフィニティーカラムクロマトと還元剤によって8mg/lのメタロチオネインタンパク質を得た。 2)リニューアルメタロプロテインの生化学的諸性質の測定 7種類の変異メタロチオネイン遺伝子(C19H,C24H,C29H,C33H,C37H,C44H,C48H)はMutan-Super Express Kmキットを用い、変異クローンを得た。DNA塩基配列を決定することにより、正しく変異されていることを確認した。1)で得られた成果を用いて、リニューアルメタロプロテインを精製した。各々のリニューアルメタロプロテインを再構成させた後の重金属濃度を原子吸光光度計によって測定した。その結果C24Hは、野生型及び他の変異MTと比較して1分子タンパク質当たり1原子多い8原子のカドミウムを結合していると思われる。 3)リニューアルメタロプロテインの構造と機能の総合評価 野生型及びリニューアルメタロプロテインの重金属との解離能を調べるために、広範囲のpH領域における結合量を吸光度を測定することによって求めた。その結果野生型と比較して、C24HはpHが高い領域において親和性が小さく、C33HはpHの広領域において親和性が大きい事を見いだした。 以上の結果から新しい結合能を持った新規のMTが創製出来たのではないかと思われる。
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