研究概要 |
ポリペプチドの4α-ヘリックスバンドル構造体またはβαβα-構造体の限定された位置に、細胞接着性機能(RGD配列)や抗体認識機能(糖鎖)等々を導入したターゲティング機能分子の構築を提案した。さらにポルフィリン等の機能団を導入することにより物質情報変換機能を有する独創的な人工タンパク質分子の構築への展開を試みた。 前年度、人工的に設計し組み立てたβαβα-構造体(49-ペプチド)に酵素らしさを持たせることを目標に、ペルオキシダーゼをモデルとし、ポリペプチドが形成する内部疎水場を反応場とするFe(III)ポルフィリン環導入βαβα-構造体(基本モデル)の構築に成功しているので、今年度はFe(III)ポルフィリンに配位するHisの位置を変えた(His scanning)4種の49-ペプチドを設計合成した。4種のβαβα型49-ペプチドはいずれもcumene hydroperoxideおよび過酸化水素を用いた(N-methyl-carbamoyl)-3,7-bis(dimetylamino)-10H-phenothiazine酸化活性に相違があり、Fe(III)ポルフィリンへのHisの配位状態と対応していた。特に、Hisの位置を基本モデルの位置から約一巻き分だけ上あるいは下に移動させたものが高活性であり、反応場の微細環境調整に成功した。 また、ポルフィリン鉄錯体を坦時したβαβα-構造体を機能的に進化させるため、ポルフィリン環近傍にフラビンの導入を行った。1-benzyl-1,4-dihydronicotinamideを用いてアニリンヒドロキシラーゼ類似活性を測定した。活性はpHおよび有機溶媒含率に対して依存性を示したことから、βαβα-構造体の形成が活性発現に寄与していることがわかった。
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