研究課題/領域番号 |
12020206
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 長夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60124575)
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研究期間 (年度) |
2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | フタロシアニン / 光学活性 / 低対称 / 電子吸収スペクトル / 磁気円偏光二色性 / 分子軌道計算 |
研究概要 |
フタロシアニン(Pc)及びその誘導体について以下の結果を得た。 1 Pcは通常4つの芳香族オルトジニトリルが環状に縮合して合成される。THFを溶媒とし、固体のCH3Naを触媒とする室温での固相合成法を開発した(Chem.Lett.)。 2 対称性を落としたPc合成は、通常π系の形を変える、環の周辺に置換基を導入する等で行われてきたが、軸配位子にC2型配位子を結合する事で新たに成功した(Inorg.Chem.)。 3 軸配位子に大きな置換基を導入してピリドポルフィラジンの会合を防ぎ、Pcのスペクトルと比較した。π系が小さい事を分子軌道計算に依っても再現した。熱安定性はPcより約60度劣る(J.Por.Phthaloc.)。 4 ベンゼン環を共有する平面Pcダイマーの吸収、磁気円偏光二色性スペクトルを測定し、両方のスペクトルの同時成分分解により得られた情報を、分子軌道計算のそれと比較して、スペクトルの帰属を行った。同時成分分解の有用性、巨大π電子系の計算の正確さが強調された(Inorg.Chem.)。 5 お互いに垂直な位置関係にあるPc5量体を一段反応で調製し、特徴づけた(Chem.Commun.)。 6 低対称Pcの合成では、今まで混合縮合法が良く使われてきたが、生成物からの分離が困難であった。そこで極性の高い2種のニトリルを縮合して、低対称の化合物の分離を容易にした。その内の一つの生成物に付加反応を行う事で他の低対称Pcに導く事に成功した(Chem.Lett.)。 7 フェロセンとシアノ基を有するマレオニトリルを用いてテトラアザポルフィリン骨格を形成させたところ、800-1200nmの領域に大きな吸収が現れ、近赤外吸収色素として極めて有効な事が判明した(Chem.Commun.)。 8 Pc類縁体でPcのベンゼン環の変わりにヘプタトリエン環を導入し、脱水素・水素付加により、π系のサイズ、対称性を変える事に成功した(Angew.Chem.Int.Ed.)。
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